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国際バカロレアプログラムとEQの親和性

こんにちは!前川です。先週はベトナムとは思えない寒さが続き、体調を崩している人も多数いらっしゃいました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、ベトナムにて我が子達はたちはインターナショナルスクールに通っているのですが、その学校が国際バカロレアプログラム(以下IB)を採用していて、そのIB教育を見ているとEQとの親和性がとても高いなと感じています。今日はそんなIBとEQの親和性、はたまた、IBの中にどのようにEQが溶け込んでいるのかについて、私のフィルターを通して紹介してみたいと思います。

IBって?

IBとは国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する世界的な学習プログラムで、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。(文部科学省IB教育推進コンソーシアムより)

そして昨今IBは、世界標準の教育プログラムであることや、これまでの「覚える、教えてもらう学び」ではなく「探求する、自ら考える学び」である点から注目を集め、日本でもIB教育が積極的に推進され、IBを取り入れる学校が飛躍的に増えています。

IBとひと言で言っても段階ごとに分けられていて、
3歳~12歳までを対象としたIB PYP (Primary Years Programme)
11歳~16歳までを対象としたIB MYP (Middle Years Programme)
そして世界各国の大学の入学資格として用いることができるIB DP (Diploma Programme)となっています。

我が子たちは全員小学生なのでIB PYPで学んでいます。

…と前置きはこのくらいにしておき、ここからはIB✖️EQというテーマで、親和性が感じられる側面を大きく2つの切り口でご紹介したいと思います。

IBとEQの親和性:教科横断的なテーマ

まずはIBの特徴でもある教科横断的なテーマ、ここにEQの要素がたくさん散りばめられています。PYPでもMYPでも教科を横断するテーマが設けられており、一つ一つの教科が独立しているのではなく、各教科/探求の単元でこの横断的なテーマが横串を指し、それに沿って学習が進めてられていきます。

PYPの教科横断的なテーマは以下の6つです。

私たちは誰なのか(Who we are)

私たちはどのような時代と場所にいるのか(Where we are in place and time)

私たちはどのように自分を表現するのか(How we express ourselves)

世界はどのよう仕組みになっているのか(How the world works)

私たちは自分たちをどう組織しているのか(How we organize ourselves)

この地球を共有するということ(Sharing the planet)

例えば、5年生である長女は前期「私たちはどのような時代と場所にいるのか」というテーマで「移民・移住」について学んでいました。単純に世界の民族がどのように散らばっている・散らばってきたのかを学ぶだけではなく、自分の引っ越しや移住を通して自身や家族関係、コミュニティがどのように変化したのかを考えたり、人はなぜ移住していくのか、人それぞれ移住についてどのような視点を持っているのかなどを学んでいました。これは社会の授業になるのですが、同じ期間、ビジュアルアーツと言語の授業も同テーマで展開されます。

この教科横断的なテーマはまさにEQ!学校で学ぶ様々なことを「自分と繋げる」「世界の中での自分の存在を捉える」ようになっていて、これがIBの特徴でもあり、EQとの親和性を感じる一つの大きな面でした。

IBとEQの親和性:学習の方法と指導の方法

IBは、学び方と指導の仕方が明確にされています。そこにもEQとの親和性がたくさん感じられます。

【学習の方法 Aproachies to Learning(ATL)】

思考スキル:Thinking Skills

コミュニケーションスキル:Communication Skills

社会性スキル:Social Skills

自己管理スキル:Self-management Skills

リサーチスキル Research Skills

子供たちがこれらのスキルを使って学びを深められるよう、そして、これらのスキルを身につけられるよう授業が展開されます。子供達はクラスの中で、体験、話し合い、リサーチ、思考を繰り返しながら学習していきます。スペリングテストや単語テストなどはなく(それに不満を持つ親もいる)、これらのスキルを駆使して自分自身で内容の理解を深めることが重視されています。IBはこれらのスキルを身につけることによって「生涯学習する者である」ということも大切にしています。

以前、長女の体育の授業を見にいった際は驚きました。その時はテニスをやっていたのですが、先生は生徒達に「うまく打つ方法」なんて教えないんです。どのようにラケットを握ってどのように打てばボールはどこへ行くのか。それを自分で体験し、探求できたか。ボールが自分の思う方向にいかない場合はどのような工夫をしたか。その結果どうなったか。仲間とのコミュニケーションはどうだったか。打ち返すために自分を奮い立たせて体を操縦できたか。そんな質問が書かれた紙に自分でメモをしながら授業をしていました。そして授業の後は必ず先生の問いに対して仲間と話し合いながらリフレクションをする時間。従来の日本教育で育った私は呆気に取られました。

・・・

IBは決して一方的な授業はしません。学習を「自分ごと」として捉え、主体的、探究的に学べるように〈指導の方法 ATT〉という形で明記されていてます。

【指導の方法 Aproachies to Teaching(ATT)】

探究を基盤とした指導

概念理解に重点を置いた指導

地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導

効果的なチームワークと協働を重視する指導

全ての学習者のニーズを満たすために個に適した指導

評価(形成的評価と総括的評価)を取り入れた指導

この中でもハイライトしたいのが効果的なチームワークと協働を重視する指導です。探求し独自の理解を構築し、概念理解を深める為、子供達のチームワークと協働を重視するだけではなく、教師と生徒間の協働関係も大切にされています。先生は「教える人」ではなく「ファシリテーター」という意味合いが強く、この点もEQとの親和性を強く感じる部分でした。三者面談でも先生から一方的な評価やフィードバックをされるのではなく、その学期の成果物などを子供自身が親に見せ説明し、その上で先生が「自分が誇りに思うところは?」「どうしてそれが達成できたんだと思う?」「どこが一番苦労した?」など質問をし、それに娘が答えながら進んでいったことも衝撃的でした。

・・・

また、ちょっとしたエピソードですが、「歌などで掛け算をすぐ覚えさせないでね!」「いきなり筆算やらせないでね!」ということを先生から何度も言われ、答えを早く出すことを重要視せず、本当の意味で数字や計算を理解することを大切にしているんだなと感じさせられました。

まだまだたくさんの側面でIB教育はEQが馴染ませられていると感じます。そしてそれについてとても良いなと私自身思っています。

IB教育のアンバサダーでも回し者でもなんでもないのですが(笑)、今回は娘たちが学ぶIB教育とEQの親和性について紹介させていただきました。

DAIJOUBUで開催しているクラスは上記の要素がふんだんに盛り込まれています。セルフサイエンスクラス、Tea Time、ぜひそれを体験しにきてくださいね!

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