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「待つ」力

2023年4月から毎月1回開催している「DAIJOUBU EQ Book Ciub」
1冊の本を取り上げて紹介し、参加者全員で、その本に触れながら、それぞれが感じたことを言葉にして共有したり、解釈を拡げたり見つけたりしてその内容について語り合う EQの読書会です。
参加者は事前に本を準備しなくても、読んでいなくても気軽に参加できます。

今日は、先月開催したBook Clubのことを織り交ぜながらコラムを書いてみます。

今回、取り上げた本は、
「ネガティブ・ケイパビリティ~答えの出ない事態に耐える力~帚木蓬生(著)
です。たまたま、キャリアコンサルタントの知人がテレビで放送されてる特集を教えてくれたことがきっかけで出合いました。

この本は、2017年に小説家でもあり精神科医でもある帚木蓬生さんがかかれて日本に紹介され、医療現場や教育現場ではじわじわひろがっていたようで、私は知人が教えてくれた際に初めて知った言葉でした。「ネガティブ・ケイパビリティ」、そのまま訳すと「負の力」。本書では、
・どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力(本書P3)
・性急に証明や理由を求めずに不確実さや不思議さ懐疑の中にいることができる能力(本書P3)
と定義・紹介されています。その他、ネットやメディア、他の書籍ではいろんな定義・表現があるようで、一部ご紹介します。
・立ち止まる力
・モヤモヤする力
・消極的能力
・消極的受容力
・答えを急がない勇気
・解決しないままでいる力
・不確実性を受け止める力 ・・・等

また、ネガティブケイパビリティの対の言葉として「ポジティブケイパビリティ」があり、これがいわゆる、問題解決能力、処理(対処)能力、「答えを出す」「解決する」つまり学校で教えられ、賞賛される能力とされています。今の世の中、人生、社会はなかなか変えるのが難しかったり、答えがなかなかみつからなかったり、とりつくすべもない事だらけで、むしろそちらの方が多い。だから、今の時代こそネガティブケイパビリティが重要・・・かなりざっくりと言えばそのようなことが本には書かれています。

この本に惹かれたことや取り上げた理由の1つとして、最近、なんでもかんでも性急に正解を求める傾向が多いことや、正しい・間違いで分断してしまう、なんでもうまくできることや何かを成すことだけがよしとされてしまうような世の中の流れに、自分自身がとても疲れを感じていること、にもかかわらず、自分も、親のサポートに関することで、早く答えをみつけなければと焦って肩に力が入っていたことがあり、答え・方向性がなかなかでないことに「自分がちゃんとしてないからだ」と無力さを感じてモヤモヤしていたことがあったからでした。

そんな個人的な思いもあり、ただ自分だけで読むのではなく、皆さんと話したいなと、ざっくりと本のあらすじをお伝えし
『ざっくりと内容を聞いて、今どんなことを感じているか』
『自分の”ネガティブ・ケイパビリティ”とは?』
『この能力を高めるためにどんな感情が使えそうか、役に立ちそうか』
というあたりの問いから、皆さんと自由に対話の時間をもち、それぞれの日常の出来事や経験談などを交えて、様々な視点や角度からお話いただくことができました。

・こういう力は一見弱気な感じ、バシバシ決定していく人は強気なイメージ。
・仕事をしていると、答えがなかなか出ないものや答えのないことの方が多い
・緊急性の高い場面ではポジティブケイパビリティ必要な場面もあると思う
・ネガティブケイパビリティが発揮されているイメージは、どっしり、ゆったり。
・自分や他者を信じることが大事。
・思考をする「間」を尊重することが大事だと感じる
・(能力を高めるために)楽観性の発揮が大事
・心配、不安という感情も大事だが、そう感じていることを認めたり受け入れないとしんどいと思う。
・EQ力が試されると思う。
・モヤモヤする力といっても、モヤモヤしているだけの力ではない。モヤモヤしていることを見ないように無視する力でもない。
・モヤモヤしてもいつか解決するという楽観性を発揮することで、正解のないものにも対処できるという気持ちになれた。
・モヤモヤしながらその中から小さな正解やキーワードを集めていく
・振り返って考えてみたら、仕事でこの力を発揮していた時はうまくいってたように思う。
・じっくり、ゆっくり進めていること・人が良くないことのように昨今は思われるかもしれませんが、必ずしもそうではないと理解できると、確かに社会の寛容性が上がりそう
・ネガティブケイパビリティを発揮している状態は、傍から見れば「早く〇〇しなさいよ」ということになる。それが常に求められている職場や環境で「早く決められない」そんな同僚がいても、それに対して自分が全否定しなくてもよいと思える。
・子どもと一緒に<答えのない問い>と考えるの(問い立てしてみる)も良いし、インターネットに出ている答えのない問いについて考えるのも良いなと思いました。
・今は核家族化しているが、昔は祖父母や年長者と一緒に生活をしていて、じっくり見守ってくれる、だいじょうぶだいじょうぶ!と言ってくれる、そんな年長者のネガティブケイパビリティに助けられてた、守られてたように思う。

そんな対話や探求の中で、この時間の中の対話から出てきたネガティブケイパビリティとは
・人生というドラマを楽しめる力
・待つ力
など、とても、DAIJOUBUらしく、深くて優しい言葉を皆さんからいただきました。

「待つ」ということを改めて考えると、忍耐や覚悟がいることで、つい「早く!」「さっさと!」となりがち。特に、わからない状態・答えがない状態の時にあえて「待つ」のはとても勇気のいることだよなと思います。でも、自分が無力さを感じていた、答えがみつからない状態、
実は「待ってる時間」だったのだ
「今、答えがでなくても大丈夫」だったんだ
「待つことができる」ってとても大切な能力なのだ
皆さんと対話をする中で、肩の力が抜けるような感覚になり、もう少し、自分や相手を信じてみてもよさそうだと思えるようになり、参加者の皆さんから私が勇気をいただいてしまいました。(皆さんには感謝です!)

まさに、DAIJOUBUの毎月の毎回の学び、そして自分を探究していくこと、セルフサイエンス自体が、ネガティブケイパビリティの発揮で、さらに高めるためには、一人の力だけでなく、様々な交流や対話の力も必要だと感じました。

Book Clubだけでなく、他のクラスも含めて、メンバーがよく「言葉のシャワーを浴びる」という表現を使いますが、本当に深い対話の時間を皆さんがつくりあげ、言葉を紡いでくださることで、自分やそれぞれの皆さんの大事なものをあらためて認識することができたり、発見をすることができます。
世の中には様々なスタイルの読書会があり、どれもステキな会だとは思いますが、DAIJOUBUのEQ Book Clubも、一人でも多くの大人の方に体験していただきたいです。また、「この本について皆で語ってみたい!」という本の紹介も大歓迎です。参加者はその本を買ったり事前に読まなくても参加でき、月によって、ランチタイムや夜の開催がありますので、ぜひ、お気軽ご参加下さいね!
→毎月のイベント情報はこちら




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