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人間の人間たる所以(ゆえん)とは?

世の中がどんどん便利になり、私たちの生活には情報技術が欠かせないのは現実だ。利便性の高まりとともに、子どもたちの遊び自体も大きく変化している。

単純に子どもたちが、iPadやスマホなどを活用したゲームアプリの一人遊びを全て否定しているわけではない。こういった遊びの中にも、学びがあるとは思っている。ただ総合的に見た時に、子ども同士が、対面でぶつかり合いながらも思い切り遊ぶ時間というのは、果たしてどのくらい確保されているだろうか。

遊びというのは実に沢山の学びがあると思っている。例えば鬼ごっこ一つでも、それぞれが優位に立ちたいという思いから、勝手に遊びのルールを変えたり、騙し合いが起こったりする。そうするとどっちがいい、だれが悪い!といった言い争いになることだってある。その時に子どもたちはどのようにその場を打開していくのだろう。

「先生、どうやったら遊んだらいいですか?」

友人の学校教員からこんなエピソードを聞いたことがある。担任しているクラスの子どもが10分休みの時に、職員室へ相談に来たというのだ。その相談というのが、「先生、遊ぼうと思っても、みんな揉めて喧嘩になるから、どうやって遊んだいいか分からないので、一緒に遊んでください!」と言われ、友人教師は、唖然としてしまったそうだ。このエピソードから見えてくることは何か?もちろん、10分という短い時間で遊べ!と言われても、物理的な時間の少なさは否めないが、それにしても、どうやって遊んだらいいかが、分からない!というのは一体どういうことなのか?と心底悩んでしまったという。

先ほどの鬼ごっこでの例を考えても、「揉めて、ぶつかった時にどうやって遊んだらいいか分からない!」こういった場に、私たち大人が居合わせたとき、果たしてどのように対応するだろうか?「喧嘩はやめなさい!仲良く遊びなさい!」こうやって話してしまうことは少なからず誰にでもあるのではないだろうか。私自身ももちろんそういった経験がある。混沌とした状況を直ぐに打開しようと大人が、子どもたちの揉め事の中身や言い分は聞かずに、とりあえずその場を諫める、静かにさせるということをやってしまってはいないだろうか。その場は沈静化したとしても、子どもたちの感情の波は静まらないだろう。それどころか悶々とした状態が続いたまま、遊びを続行するかもしれない。表向きは仲直りしたように見えても、しこりが残ってしまったことが原因で、逆に子どもたち同士、気まずい関係に発展することだってあるだろう。

さて、こういった状況を打開させる時に、私たちはどういう言葉をかけるべきなのだろうか?

What/Why/How の問いかけ

先ずは私たち大人が、とりあえず「仲良くさせる」ということを最大目的にしないことが大切ではないかと思っている。「何が起こったの?」「なぜそんな気持ちになったの?」「どうやったら、この後、遊べるかな?

答えありきの問いかけではなく、子どもたちに思考させる時間をたっぷりと与えることが肝要ではないだろうか。日々の忙しさから、子どもたちだけでなく、私たち大人も「答えのない問いについて考えること」そういった時間と場が奪われているような気がしてならない。「答えのない問いについて考えること」これこそが、遊びの中にある一番大切な学びではないだろうか。どうやったら楽しく遊べるんだろう?を、とことん思考する経験は、困難な壁にぶち当たった時に、どのように局面を打開するかという、その先の人生においても、とても、とても大切な力になっていくような気がしてならないのだ。

頭と心を親友にしていく力こそ、人間力に繋がっていく

頭(思考)と心(感情)がバラバラな状態では、子どもたちも大人も、誰もが苦しくなるだろう。頭と心をどう効果的にブレンドしていくか、子どもたち同士の遊びの場には、一人遊びでは到底得られない、大切な気づきと学びが確かに存在しているのだということを、私たち大人がもっと強く認識していくべきではないだろうか。そしてそのことが結果、人間力を育んでいくこと=非認知能力にも直結していくと、私は考えている。

AI(人工知能)やIT(情報技術)が更に進化して、もはや何でも出来るという、神の聖域にさえ踏み込むのではないか?という懸念や危惧がある中で、この先の社会や未来を、私たちがどのように創り出していくのか。それを考えるのは、私たち人類、人間自身だ。

かつてITのパイオニア的存在の方が、こう語っていたことを思い出す。「どんなにAIが台頭してきたとしても、『感情』という領域に完全到達することは全くもって不可能だろう」と。

人間の人間たる所以とはなにか?一見、哲学的で答えのない問いのように見えるが、私にとっては、この問いに答えてくれるそのものが、感情知能EQ/セルフサイエンス/SEL であると強く明示しておきたい。

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