子どもの幸福度、先進国最低レベルの日本
先進国における子どもの幸福度(原文では”Well-being”と表現)に関するレポートが発表され、日本が調査対象となっていた38か国中最低レベルであることが日本語でも各紙で取り上げられました。日本語のレポートはまだ発表されていませんが、DAIJOUBUでは原文から、子どもたちの『だいじょうぶ』という感覚は果たして守られているのか、何によって日本の子どもたちの幸福度が最低レベルであると発表されたのか読み解き、『すべての子どもたちに だいじょうぶ な世界を』願う私たちに何ができるのか、考え記します。
Innocenti Report Card 16
Worlds of Influence
Understanding What Shapes Child
Well-being in Rich Countries
ユニセフのリサーチ部門であるイノチェンティ研究所が2020年9月に発表したレポート。2000年以降毎年発表している。
レポートの日本語訳は後日発表予定とのこと。
子どもを取り巻く環境の定義
子どもたちを取り巻く環境を4層に分けて表現しています。全体としての世界、子どもたちを包括する世界、子どもたち”の”世界、そしてそれらが子どもたちの今、を生み出しているとしています。主に、精神的健康、学力(スキル)、身体的健康です。
15歳の子どもたちの幸福度が、38か国中37位だった
これが、多くのメディアが取り上げたニュースについて表しているグラフです。
上位に欧州、特に北欧が入ってくるイメージがありましたが必ずしもそうではなく、2位のメキシコが非常に興味深いです。私自身メキシコとの縁が深く(ストリートチルドレンの施設で働いていたため)、当時、何かと日本と比較し、メキシコの人たちの自身の感情への素直さ、他者への優しさ、数字としての自殺率の低さに、すごく驚き、納得をした経験がありました。
by Mawary
これだけ見ていると、一体何がこのグラフの結果をもたらしたか見えてきません。このレポートから垣間見えた、日本の子どもたちが「満たされていない」という現状をピックアップしていきましょう。
日本の子どもの死亡率と、自殺率
下左のグラフが、5~14歳の1000人当たり死亡率を表しています。上から9番目。
下右のグラフが、15~19歳の10万人当たりの自殺率です。下から12番目。
対象の年齢が異なるため、A vs Bで表現はできませんが、死亡率が他の先進国と比較して低いのに対し、自殺率が高いことは明らかです。
「友達をつくるのは難しいこと」
「友達を作るのは簡単!」と答える子ども(15歳)の割合もまた、38か国中37位です。
一番高いルーマニアで8割を超えるのに対し、7割を下回っています。
子どもは幼いうちは自分から半径数メートル以内の人間関係がすべてで、そこさえ安定していればこのレートは上がります。年齢を重ねるにつれ、この半径が外側へと拡がっていき、15歳という年齢はちょうどその拡大の最中。ここの時期に、日本では人間関係を自ら率先してつくっていくことにためらいを感じる子どもが比較的多いということが判りました。
学校(教育現場)への居場所感と、学力・幸福度の相関
居場所感の高低と、学力・幸福度には相関が見られました。日本に関しては、居場所感によらず学力は高く、また居場所感に依らず幸福度は低いですが、居場所のない子どもほど幸福度を感じていない(先進国のデータで最下位)ことが判りました。
そもそも「居場所感」ってなに? 子ども達(もちろん大人達も)がどうなることが「居場所感」を持てる(感じられる)ということにつながると思いますか? 私も正直、EQと出会うまで、この「居場所感」というものについて深く意識したり考えたことはありませんでしたが まずは自らの「居場所感」について、そして子ども達にとっての「居場所感」について考えてみるところからはじめてみませんか?
by Hiro
医療・水道光熱のインフラは高水準
データを見ても、安全な水へのアクセス、医療へのアクセス等どれをとってもインフラ関係は高水準でした。
考 察
日本の子どもたちについて、データから見てもなお、こんなにも物質的に不便のない「だいじょうぶ」な国でありながら、内面は決して「だいじょうぶ」とは言えない状況であることがデータによって明らかになりました。
今、日本の子ども達が持っている感情とは、どんなものでしょうか?
何が彼らをこのような感情へ追いやっているのでしょうか?
冒頭の4つの層の中では、どの層が一番インパクトを与えているでしょうか?
まずは感情と、感情の持つメッセージについて一緒に学びましょう。
すべての子どもたちが だいじょうぶ という感情に包まれる世界を作るために。
「8つの基本感情と感情のメッセージ」(P.10)をダウンロードする
シンガーソングライター・EQエデュケーター
EQの力を心から信じるアメリカ在住の3児の母
現在アリゾナ州立大学 社会的正義と人権 修士卒業
感情知能EQと出会い、生きることがうんと快適になった経験から多くの人に、
特に子どもたちを取り巻く環境にEQを一秒でも早く届けたいと願い奔走している