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世界最先端のSEL校シナプススクールを訪問して見えた、子どものEQが育まれる学校の4つの環境要因

synapseschool 世界最先端のSEL校シナプススクール

アメリカは北西の端の方の島に住んでおりますまわりーです。日本からこちらへ引っ越して1年が経ち、現地の公立小学校に通う子どもたちの2.5か月に及ぶ長い夏休みが始まったので、車で大旅行に出掛けてきました。アメリカ西海岸の北の端の方、もはやカナダ・バンクーバーまであと数時間という場所から片道16時間かけて、カリフォルニア州まで。サンフランシスコから1時間ほどのメンロ・パークという街に、世界最先端のSEL校シナプススクールがあります。そこでは日本人のKeiko SatoさんがSELスペシャリストとして教師として活躍されていて、DAIJOUBUでもこれまで何度か特別クラスやEQコーチングなどでタイアップをさせていただいてきました。この度、ここ2~3年程オンラインで活動をごいっしょさせていただいてきたKeikoさんにやっと対面でお会いし、シナプススクールに訪問させて頂ける機会を頂きました。

今日は、そんなシナプススクールを訪問して私が目の当たりにした、そして数日間いっしょに過ごしたKeikoさんとの会話からキャッチした、シナプススクールが子どものEQを育む世界最先端のSEL校であり続けるの4つの環境要因を綴っていきたいと思います。

環境要因① 変化をし続けスピーディに変革をすることが、DNA

2009年にカリフォルニア州の住宅街の中のガレージで、8人の生徒と共に始まったシナプススクール。綺麗で治安の良い街の中に、グレー・イエロー・ブルー・グリーンといったカラーを基調とした真四角の2階建て相当のビルが、突然間を取りつつも4つほど並んでいるのがシナプススクールです。普段島に住んでいる私たち親子は森と海に囲まれているため、街の中に突然現れた学校エリアに少し驚きながら、2つの建物を訪問させてもらいました。全校生徒は400人未満。設立からたった10数年の間で50倍近く生徒数が増えています。評判が評判を呼び、志願者数も賛同者も年々増加し、それに準じて学校のキャパシティも広がっていっている様子。

コロナ禍において、ここ1年間は完全なリモート授業から徐々に学校に戻っていき、安全を確保しながら運営していく体制を日々細かな意思決定をしながら、通常の授業と子どもたちにプラスαしてたくさんのことに気も心も手足も配りながら乗り越えてきたとのこと。日々変化するコロナの状況への、場当たり的でない、心も頭も使って考えられた納得感のある対応は保護者からの信頼を厚くするものだったようです。

シナプススクールは『チェンジメーカーのコミュニティを育成していくこと』をミッションとしています。

チェンジメーカーとは
[1]積極的かつ本質的な方法で世界に影響を与える人であり
[2]実社会の課題解決は一筋縄ではいかず、学問・クリエイティブさ・社会性と感情のそれぞれの領域を統合する必要があることを知っていて、それぞれの領域についてしっかり備えた人であり
[3]決して数字や規模によって定義されるものではなく、一人の人生にポジティブな変化をもたらすことは、世界全体にポジティブな変化をもたらすことである

synapse school educating change makers

と定義されており、本質的な課題解決のための『変化』『変革』はシナプススクールのDNAといえます。いつも様々なことが本当にこれでよいのか、と議論され、思案され、スピーディに変革されていくようでした。

環境要因② 校長先生が率先してEQの体現者である

今回校長先生には直接お目にかかれませんでしたが、校長が率先してEQの体現者であることはお話を聞いていても、学校の方針を見ても明らかでした。

EQの品質管理と言いますか、シナプススクールの風土の維持に、校長先生の姿勢が大きな影響を持っている様子で、コロナ禍でたくさんのスピーディ変化を余儀なくされたこの1年の教師一人一人の情熱と行動を称えて、スクールイヤーが修了した6月には感謝を交換し合う対話が校長先生発信で行われたとか。

EQは、きちっとした説明よりも、身の回りにいる人の言動や姿勢に大いに影響を受けるものです。この校長先生が自然体のままEQを体現している様子があってこそ、日々情熱を持って子どもたちや保護者と関わる教師たちにとっても安心して挑戦できる環境となっているように感じました。

環境要因③ 教師と保護者・生徒の間は、人と人の関係

私の子どもたちが通う学校を含め、一般的なアメリカの学校では先生のことをMr.〇〇、Ms.〇〇と敬称付で名字で呼ぶことが多いです(日本のように先生とは呼びません)。たとえばKeikoさんの場合は、「Ms. Sato」と呼ばれます。ちなみに子どもたちはお友だちのお母さんのことを下の名前で呼びます。私のことは「雄心のお母さん」のような呼び方はせず、「Ayaka」です。日本が30年以上ベースだった私にはそれも驚きでしたが、シナプススクールでは保護者も子どもも、先生を下の名前で呼びます。Keikoさんのことは「Keiko」と!

訪問した日、シナプススクールも既に夏休みでしたが、様々なサマープログラムのために学校に来ているたくさんの生徒さんや保護者と出会い、Keiko!と声をかけていたのが印象的でした。

シナプススクール EQ

また、教師は教育サービスを提供しているわけではなく、あくまでも子どもの成長は保護者と教師とが手を取り合ってサポートしていくもの、という姿勢が色濃くあり、教師と保護者の間もまた人と人の関係です。教師と保護者で結成するバンド活動などそれぞれが立場を越えて関わり合う機会があり、保護者も教師も、いっしょになって子どもたちの成長に寄与しようとする。クラスルームの担任ではないSELスペシャリストのKeikoさんが保護者とお話する様子も垣間見て、日本で数年前よく聞かれたいわゆる「モンスターペアレント」といった呼称も関係も、人と人としての関係の中では生まれないように思えました。

環境要因④ 『チェンジメーカー』を生み出す、子どもに決して教えようとしないプログラム

シナプススクールのありとあらゆる環境そのものやプログラムが、「子どもにどうしたら教えられるか」といった視点や姿勢では作られていません。もはや真逆の「どうしたら子どもたちの内側から引き出せるか」という視点・姿勢によって成り立っています。校内の壁のいたるところにそういった視点・姿勢を自然と育むようなヒントとなるポスターやグラフィックがあり、そこには答えというよりは、道筋や方針、大きな絵・ビジョンが示されていました。

革新的な学校のつくり方 シナプススクール

壁にはほかに子どもたちが自分をつかったアート作品の写真が飾られていたり、授業でつくった大きな模造紙が貼られていて、それだけ聞くと日本でもやっていたなぁと思えるのですが、やはり見ていると様子が違います。子どもたち自身が、周りの大人や環境から信頼され、表現することを日頃から応援されていて、子どもたちもまた目的を吟味しつつ自分の内側から探して表現する、というのを実践しているのが作品から伝わるのです。「正解」を「狙いに行く」という発想すらそもそもありません。

校内で視界に入るものは、子ども自身も、親御さんも、教師も、学校運営サイドも、自然と毎日目にします。鮮やかな色と自由度の高い建物の設計、寄付者や賛同者の協力によりアップデートされていく校庭やメーカースペースなど、子どもたちがワクワクして、自身の感情を活用しながら存分に表現・成長・学びができる環境だと感じました。

シナプススクールは、すべてのお子さんに開けた学校

人によって価値観が異なって当然の世の中において、完璧な社会や住む場所を見つけるのが難しいように、完璧な学校もまたなかなかありません。日本から見ると自己主張ができる、オープンで自立したひとが多い印象のアメリカにも、いろんなお子さんや家庭があり、いろんな学校があります。

夢のように思えるシナプススクールも、そのほかのすべての学校と同じように何もかもバラ色というわけではなく、課題を見つけては変革を繰り返して世界最先端のSEL校であり続けています。

シナプススクールは、もちろんキャパシティなどの制限による定員はありますが、奨学金プログラムも豊富に用意しながらどんなお子さんも受け入れています。(時々、ギフテッドの子どもたち向けの学校である、と混同されている方も見聞きしますが、それはもうひとつのカリフォルニア州の有名な私立校ヌエバスクールのことです)

シナプススクールは、様々なお子さんがここへ来て、環境がまるごと自分の力を信じてくれ、学校全体で・教師同士で・保護者も含めてSELプログラムを理解しEQを取り入れ、子どもたちがチェンジメーカーになっていける―――そんな学校です。たった数時間の滞在でしたが、小学校2・3年生になる我が子たちも、視界に入る鮮やかな情報や楽しいツール、ワクワクするような建物と仕掛け、学校に訪れる人々のキラっとした内側からのエネルギーが重なった雰囲気に、リラックスしながら好奇心を持って過ごしていました。

頼もしいEQ実践者の校長の元、出会う大人もプログラムもEQを真摯に取り入れられた環境で、世界にたった一人の自分を成長させていける。そんなスペシャルな環境の中で、EQの専門家として学校で勤務するKeikoさんの温かいまなざしと、そんなKeikoさんがつくる専用のお部屋は、きっと他の教師がEQのエッセンスの取り入れ方に迷ったときにも、子どもたちがEQをもう少し発揮して自分自身とひとつになりたいときにも、間違いなく頼れる、シナプススクールのとっても大切な光の泉のような場所なのだろうなと感じました。

親子そろってシナプススクール訪問をさせていただきましたKeikoさんへ、この場を借りて改めて心からの感謝を申し上げます。

DAIJOUBUはシナプススクールの取り組むEQを尊重した、第ゼロ言語であるEQを安心安全な空間で無料で磨ける日本唯一のオンラインプラットフォーム

EQは、どんな語学や知識よりも前の、第ゼロ言語ではないか、とここ数年私は考えています。EQというスキルは、自分が持っている力をより発揮しながら、人とつながったり距離を取ったりして自分も相手も大切にして生きていけるようになる、ヒューマンスキルです。

DAIJOUBUはPOP-UPフェスティバルを始め、Six Seconds GlobalのEQの取り組みに賛同をして、Six Secondsの研究所としてのシナプススクールの方針を尊重し、姿勢や取り組み方などのヒントを得て、プログラムをつくり運営しています。

DAIJOUBUは、「子どもたちは15歳まで出会う人を選べない」(ユニセフレポートカード2020)という事実を踏まえ、子どもたちが出会うことになるひとりでも多くの大人がよりEQ的で、子どもたちの力を信じ、内側の光を引き出す様にサポートできる人でありますようにと願いを込めて、子どもにも大人にもEQクラスを開催しています。

大人・学生向けのEQをしっかりと体験するセルフサイエンスクラス🧠💛、対話を通じて心と頭をほぐすtea time🍵、子どもも大人もだれでも無料で参加できるEQプログラムPOP-UPフェスティバル🎉、いずれも大好評定期開催中です。決してジャッジされず、自分らしく学びながら自分や他者を癒し許せる空間、ぜひぜひご体験をお待ちしています。

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