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創作現場に必要なのは、まさにEQ力!

”演出はまさにファシリテーション”

3月27日(日)に2ヶ月弱にわたった、舞台創作が終わった。アントン・チェーホフ不朽の名作「かもめ」13年ぶり2度目の演出にチャレンジした。社会情勢が制限、制約のある状況でのスタートだったのもあるが、千秋楽まで無事にたどり着けるか、不安との闘いで、緊張状態がずっと続いていたように思う。心身ともに精根尽き果てたというのが、今の心境だ。それだけやり切ったというのが、正直なところで、公演終了翌日は、実に清々しい気分だった。

演出家のイメージが、一方的に交通整理をしながら、指示出しをする権威ある人、という現状認識が未だに残っているのは実に悲しい。創作では、それぞれの「~したい」が交差し、ぶつかり合う。正解がないのが、アートと言われるように、まさに感情と思考が渦巻く現場なわけだ。演出家が創作のプロセスで、実践すべきことは、俳優たちが生き生きと行動できるような環境整備をしていくこと。その一番の要が「対話」であると思っている。作品について、役について自由闊達に意見交換し、課題を共有し、わかち合うことが何より大切なのだ。

舞台が開幕して、作品を駆動していくのは俳優たち自身だ。彼らが主体的に、協調性をもってストーリーという情報共有を図るために必要なのは、俳優同士の信頼関係しかない。その関係性を醸成するためには、リハーサルが心理的安全性を感じる場でなければならないのだ。どんな疑問をぶつけても、何を言ってもいいんだ、という安心感が無いと、俳優たちの解放(表出)に繋がらない。その場をどう促進(ファシリテート)していくかが、演出家の最大の仕事といっても過言ではないだろう。その上で、演出家は指導者ではない、という認識をもってもらうこと、受け身の指示待ちではなく、この演出家に任せっきりでは危ないぞ、という危機感を持たせることも大切なのだ。その危機感から、現場が一気に駆動し始め、リハーサルが切磋琢磨し始める。俳優たちの解放(表出)が出来て、はじめて集中(表現)する空間へと繋がっていく。

EQ的”問いの立て方”は、俳優の創造的思考に繋がる”

前回のコラムでも書いたが、演出家のもう一つの大切な役割は、問いの立て方だ。演出家に見えている景色があったとしても、こうして!ああして!というような指示出しでは、単なる一方通行の創作となる。正解のように直接言及するのではなく、一つの問いから、俳優たちが創造的思考に繋げていくように促すのも大切な仕事なのだ。What / Why / How の問いかけを基本に、俳優たち自身は、その役の感情を知る、選択する、活かす、というプロセスへと入っていける。

そのプロセスの土台で、私が常に意識しているのは、SixSeconds学習哲学「チェンジマップ(Change MAP)」だ。このチェンジマップは、行動変容のプロセスのフレームワークとして活用している。この創作プロセスを経た作品は、人間味に溢れた愛おしいキャラクターたちが、生き生きと行動する様を目の当たりに出来、観客が共感、共鳴する舞台へと昇華していけるのだ。


まさに創作に必要なのは、演出家をはじめとするスタッフと俳優のEQ力に他ならないのだ。自分自身のEQ力を更に高めていきたいと感じさせてくれた舞台「かもめ」の現場だった。

舞台「かもめ」の詳細はこちらから https://www.art-loving2016.com/seagull2022
映像版「かもめ」も5月からオンライン配信予定。詳しくは、You Tube動画から。
https://www.youtube.com/channel/UCLlu_rdai9SWV0imfN_pMqQ/videos

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