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「小さい人たちのEQ力」~忘れられた水筒の旅~

先日、息子がした「忘れ物」をめぐって子ども達がとった行動について感動したことを紹介させてもらいたいと思います。

小学生を持つ親の悩みの1つ「忘れ物」

我が家の小学2年生男子は比較的慎重なタイプで、これまでもあまり忘れ物をすることはありませんでした。しかし、年齢があがるにつれ、交友関係や興味関心があちらこちらにひろがりはじめたせいか「忘れ物」の頻度があがってきたように思います。
1年生の頃は忘れるたびに泣いていたようですが、最近では隣の子にみせてもらう、貸してもらうという知恵がついてきて、泣くことはなくなりました(笑)

さて、先日、息子がした「忘れ物」をめぐって子ども達がとった行動について感動したことを紹介させてもらいたいと思います。この話は、個人のFacebookにも投稿したのですが、想定をはるかに超える反応をいただきました。



ある日、息子が下校時、学校に水筒を置き忘れたまま学童へ行ってしまいました。教室に残っていたお友達がそれに気づいて、息子になんとか届けようと、なるべく家が近い子の手に渡るように、水筒が下校中のお友達の手から手へリレーのごとくパスされてきました。
そして、最終的には同じマンションの2年生の手に渡ってきました。
その2年生の子ども達、受け取った水筒を手に困ってしまったらしいのです。
息子や私が家にいるかわからず、さらにそもそも我が家の部屋番号も忘れてしまいどう届けていいかわからなくなって。

その後下校してきた他の友達も合流し、皆で相談した結果、マンションの管理人さんに託けよう!というアイデアを思いつき、管理人さんに預けて一件落着。



・・・・これは、その中のとある同級生のお母さんが仕事中の私に経過報告してくれたLINEです。(文章はここに掲載用に書き直しています)


家に帰ると、ポストに管理人さんから「子ども達から預かってます」という丁寧なお手紙が入っていました。管理人さんはすでに帰られている時間で、それを知っていた同級生のお母さんは「母達に相談してくれたらすぐに届けられたのにごめんねー」と続けて連絡をくれました。

たくさんの子ども達にお手間をかけてしまったし、おそらく水筒を受け取った子ども達は「ちゃんと届けなければ!」とドキドキしたことでしょう。
マンションの玄関で相談する子ども達の姿を想像するだけで、愛おしさがあふれてきて、お手間かけてごめんねー、本当にありがとうねー!という気持ちで胸がいっぱいになり、同時に子ども達ってすごいー!!!って大袈裟でもなんでもなく感心しました。


日常の出来事を丁寧に・・・

その時の子ども達の様子や経過を想像して、そこにEQコンピテンシーやよく言われている非認知能力と言われるものにはめてみると・・・例えばこんな感じではないかなと。


たくさんの子ども達が先生に頼まれたわけでもないのに
「水筒がなくて明日困るだろうな」と息子の気持ちを考え
「水筒を息子に届けなきゃ」という想いが行動になり、お手紙をつけて、
共感力の活用、思いやり
「どうしたら家まで届くか」を考えながら複数の子ども達の手から手へ渡す
他者との協働、みんなで力をあわせて目標に向かう

最終関門も一生懸命自分達だけで(自力で)「相談して」その方法を考え
自分で考える力、他者との協働、協調性、コミュニケーション能力、やりぬく力
選択肢の中で
「(もしかしたら部屋番号を知らないかもしれない)それぞれの親」
ではなく
「(確実に我が家の部屋番号を知ってる)管理人さんという大人に頼る」
方法を選び
柔軟な発想、結果をみすえた思考
最終的には子ども達の想いや行動はきちんとその通りの結果に結びついた。

もう1つ。
そこには子ども達の気持ちや行動を「否定・指示・阻害する大人」はいなくて、たまたま下校時で大人があまりいなくて子ども達だけの世界での出来事だったこともあるけれども、管理人さんの様に「受け止め、見守り、協力してくれた大人」がいたことから発揮・達成できたのではないかなと思ったりもしました。

非認知能力やEQ力って大事なのはなんとなくわかるけれど、IQとは違って測定や可視化できるものでもない分、どんなものか、どうしたらよいかよくわからない。「どうしたら育めるのか」的な記事や本もたくさんあふれています。
でも実は、日常の何気ない出来事やその時の子ども達の様子を丁寧にみていくとすでにそういう能力を発揮している場面っていっぱいあるんですよね。

それを私たち大人がどれだけみれているか、
そして、自分達の価値観や考えを押し付けるのではなく子ども達の気持ちや発想・行動をどれだけ尊重し、見守り、応援できるか。

小さい人たち

かつてのテレビ番組で「できるかな」という子ども向け工作の長寿番組をやっていたのっぽさん(高見のっぽさん)の著書「「小さい人」となかよくできるかな」の中で年齢に関係なく、相手に対して敬意をもって尊重して接することを大切にされていたのっぽさんは子ども達のことを敬意を表して「小さい人」と呼ばれていました。

様々なHOWTOも大事ですが、私たち大人は、まずは「小さい人たち」に敬意をもって接すること、「小さい人たち」をもっと丁寧に見ていくことを大事にしていきたいな・・・この出来事を通して改めて感じました。


で、水筒については、無事子ども達の手から手を旅して、翌日に本人の手元に返ってきてくれました。関わったお友達には息子本人から「ありがとう」を伝え、これからは持ち物は忘れないように確認しようね!で旅は完結しました。


・・・でも。
数日後 「忘れた」ではなく「壊した」という新たな案件が勃発。
おろしたての新品の傘をね・・・(涙)
小学生男子との闘いの旅(!)はまだまだながーくなりそうです(笑)
「小さい人」も「大きい人」もがんばれーーー(笑)

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