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豊かな言葉を紡ぎ出すとは?

逆境の中からスタートしたパーソナリティ人生

2023年3月31日(金)ラジオパーソナリティとしての仕事が終わった。

初の緊急事態宣言が発出される直前、学校が一斉休校になる等、ステイホームが続いていた3年前の春にラジオデビュー。先の見えない事態に皆が不安になっていた事を思い出す。少しでも活力と希望の光に繋がる言葉を届けてきた3年間だった。リスナーからのメッセージで、繋がりを感じ、逆にこちらの方が勇気を頂いたこともよくあった。

最後の生放送でも、全国津々浦々多くの方からメッセージを頂き大感激。中には、初めてメッセージを送って下さった方が何人もいて、普段は中々認識出来なかったけれど、沢山のリスナーが聴いて下さった事を改めて感じ、胸が熱くなった。改めてラジオの仕事って素晴らしい!と感無量のラストを迎えられた事に今は感謝しかない。

私にとってラジオパーソナリティとはどんな仕事だったのだろうか。

情報番組では、情報を的確にコンパクトに伝えることを意識した。ダラダラとおしゃべりすることはいくらでも出来るが、リスナーが正確に情報を収集できるために一つ一つの言葉をどう取捨選択するかを懸命に考えていたように思う。その際、特に大切にしていたことは、なるべく否定的消極的なワードは使わず、前向き肯定的なワードの選択を意識した。未知のウイルスまん延、自然災害、戦争など社会情勢が厳しく、ネガティブな状況であればあるときほど、そのことを意識していた。過度な不安を煽ることがないように、また状況を軽視しているような軽はずみな表現やニュアンスにならないよう、ウェルバランスを考えながら発言していたのかもしれない。

インタビュー番組では、相手の魅力を如何に引き出すか

                インタビュー番組はいつも刺激的だった

収録のインタビュー番組では、数多くの素晴らしいゲストとの対話の時間を持つことが出来た。毎回異なるゲストに同じ固定の質問をしても、マンネリ化してしまう。インタビューする相手が、どういった背景で今の仕事をしているか、事前に自分なりのリサーチをして、最低限の情報はインプットすることを心掛けた。その上で、相手が『今、何をしているのか』『なぜそのように考えて行動しているのか』『今後どのようなことにチャレンジしていきたいか』この三つの質問は、毎回構成の流れに入れていたように思う。この流れがあるとなぜかゲストも毎回、饒舌に語ってくれるケースが多かったのは果たして偶然だろうか。

インタビューでもう一つ意識していたのは、「聴く」「聞く」の違いだったかもしれない。ただ何となく質問をして情報を聴くのと、あれこれと思考しながら聞くの差は大きかった。思考しながら聞くということは、どういうことだろうか。「それは、きっと相手を大切にしていくということじゃない?」と教えてくれたのは、そういえば小学生たちだったな。

言葉の怖さと豊かさについて考え続けた3年間

言葉は時に凶器になるとも言われる。新型コロナウイルスのまん延し出した初期の頃は、人々の心は恐怖で怯え、恐怖を煽る過激な言動も多かったように思う。その度に人々の心はネガティブな気持ちになり、後ろ向きになってしまうのではないか、という懸念と不安がいつもあった。公共の電波で発信するという自覚と緊張感は毎回付きまとっていたが、どんな苦境の中でも、発信する側がどのような言葉を取捨選択するかでリスナーの心には届く印象が異なってくる。そういった責任感をいつも持ちながら、リスナーの心が不安で覆い尽くされないように、ポジティブな言葉を意識的に選択していたかもしれない。

そして最後にラジオパーソナリティという仕事を通して一番大きな収穫だったのは、時間という尺が決まっている中で、どれだけ豊かな言葉を紡ぎだせるかどうか、ということを学べたことだ。時間が有限だからこそ、ありとあらゆる集中力を発揮して、思考しながら、言葉を選択していく。このことが如何に大変かつ面白いことだ、と今は言える。とある緊張感の中で、「集中」「解放」を上手く発揮できるようには、自らがブラッシュアップしていく気持ちを持ち続けること。この事こそが、何より大切なことだと教わったような気がしている。

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