演劇共育の中でのEQワーク
私が、主任講師を務めている「EQ向上委員会 生きる力を育てる演劇共育」には、現在、幼稚園年長から小学校2年生の子どもたちが在籍しています。今年度開講したばかりのクラスでは、演劇共育ワークの中に、EQを取り入れています!さて、その内容とは・・・!
開講したばかりの子どもたちは、中々自分の心を解放しようとはしません。それだけ間違えたくない、正しいことをしなければという観念が強いのです。単に恥ずかしいという気持ちもあるのですが、それをブレークスルー出来る演劇的手法はいくらでもあります。ただ、今回のクラスでは、敢えてそういう手法は取っていません。
ある意味、半ば強引に心を開かせていくやり方で、場の空気を変えていくことも出来ます。実践家たちはそれだけ様々な引出しを持っていますし、そのアプローチは様々あっていいと思います。
今年、とあるプロジェクトで、こんなことがありました。「自分は自分の気持ちを言語化する事も文章化することも苦手です。アウトプットするのは、言葉や文章だけですか?別のやり方でもいいですか?」
確かに!人には様々なアウトプットの仕方があると思いました。どうしてもファシリテーションで陥りがちになるのが、言語化や文章化に限定する事です。それってもしかしたら絵でもいい、詩を書くでもいい、楽器を演奏するのでもいい。
そんな時に、私の頭では、EQの「自分の感情を知る」ワークを思い出していました。POP-UP フェスティバルの中で、「アレブリへとわたし」というものがあります。
お話を聞いて、熊や象などの6つの動物の写真を提示し、既知の動物の中でそれぞれの自分が強みと感じる部分を組み合わせて、自分だけの動物を創っています。 メキシコの伝統的な守り神で様々な姿に変化する動物・アレブリへの力を借りて、自分の中にある力を見つけ、内側にある特別な強みはなんだろうか、動物の特徴との共通点はなんだろうか、と思考するを目的としています。一見、演劇とは無縁のように感じるかもしれませんが、自分の強み、自分の感情を知ることは、結果、演劇的手法による自己理解というところにも直結するのです。
EQ力=非認知能力(生きる力)
こういったEQワークを取り入れることは、結果、探究のプロセスと呼ばれる、思い(感情)→考える(思考)→やってみる(実践)→振り返る(思考)→思い(感情)とも合致してくるのです。
無理矢理テンションを上げて、身体を動かしながら感情を喚起させることだけが、演劇共育じゃない!感情と思考のバランスを整える時間、コンフォートゾーンの確立に、EQワークが役立つ。
- 自分の表現方法、アウトプットの仕方が、言葉や文章だけじゃない。
絵で表現してみることで、言葉や文章では表現し切れない、自分の感情を知ることが出来ます。そして何よりこの場は大丈夫だ!というコンフォートゾーンが生まれます。そういったゾーンが出来てから、身体を動かしながらの演劇共育ワークでも良いのでは、と最近は思っています。まずは、「快」を感じる環境づくり、そしてEQによって、ストレッチゾーンへと足を一歩踏み込む勇気や行動、これこそ生きる力へと発展していくのではないでしょうか。そう、大丈夫!この感覚を育ませていくことに、明日も尽力していきたいと思います。
生きる力をつくる・はぐくむをコンセプトとした
Art-Lovingというアートカンパニーで、演劇創作と演劇共育を中心とした教育事業に勤しむ。
舞台演出家・演劇共育実践家・ラジオパーソナリティ(FM軽井沢)として活動中。