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自尊心を高める

Photo by Camille Brodard on Unsplash

みなさん、あけましておめでとうございます。12月に、ワシントン州の島から、フロリダ州の北部へ引っ越しをしたまわりーです。まだまだ完全に荷物が片付かない家の中から、2024年最初のDAIJOUBUコラムをお届けします。

さっそくですが、ぜひこのコラムを使って新年最初のEQワーク・SELワークをして頂けたらと思います。

振り返り&これからの抱負を形にするSELワーク

セレブレイト・レター (©Ayaka Mawarida)

  1. お好きな紙を1枚用意してください。なんでもOKです!手紙を書くので、便箋があればそれも素敵でしょう。
  2. 自分のことをどう呼びますか?一番最初の行に、「〇〇へ」と、自分を呼ぶ言葉を書きます。私はまわりーと呼ばれることが多いですが、「彩夏へ」と書きます。
  3. そうです、これは自分への手紙です。他の紙があれば下書きするのもOKです。いきなり書き始めるのもOK。次のような構成で書いてみましょう。

    [1]〇〇な1年だったね([2]を先に書いてから共通点を言葉にするのもOKです)
    [2]〇〇な1年、を表すエピソードを2~3つ(2つ以上書きましょう!)
    [3]ここで自分へのセレブレイトメッセージを書きます。セレブレイトとは直訳するとお祝いする、という意味ですが、EQ・SELワークで使うときにはもう少し具体的です。

    「□□のときに、△△をして、〇〇という結果を生んだよね、おかげで◇◇な気持ちになった、自分が誇らしいよ!」
    「□□のときに、△△をして、〇〇といういまにつながったね、◇◇な気持ちに包まれたよ、そんな自分に感謝してる!」

    といった感じで、【いつ・どんな行動をして・どんな結果になり・どんな気持ちになったか】、そしてそんな自分をどう感じているのか。日本では自分に対して感情を持つ、ということに光を当てる機会がとても少ないと感じているので、ここは「自分が誇らしい」あるいは「自分に感謝」の2つにチャレンジしてみて頂きたいです
  4. 最後は、[3]で書いた自分に拍手を送る気持ちで、「2024年は☆☆ことにチャレンジしてみようね!」と書き、〇〇より、としっかり自分の名前を変えて終えましょう。

少し時間がかかる方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひお好きなお飲み物でも片手に、ゆっくりと書いてみて頂きたいです。

自尊心とは

セレブレイトレターに取り組むと、たとえば根拠のない自信を普段から持てている人ならそれに根拠が出現しますし、あまり自分に自信がない人ならば「こんなことを成し遂げたじゃないか!」「こんなことがあったじゃないか!」と思い出せるお土産になるかもしれません。自尊心を高めています。

自尊心とはそういえば一体何でしょう?

Self-esteem
Confidence in one’s own character, worth or abilities; self-respect. (Oxford Dictionary)

自尊心
自分自身の持つ特徴や、価値や、能力に対する自身。自己尊重。(オクスフォード辞書)

自己肯定感という言葉も使いますよね。日本語では自己肯定感という言葉の方が尊重されて使われていると思います。ですが、EQワーク通じてたくさんの人と感情を見つめる、振り返る、改めて感じるワークをして私が現段階で持っている所感としては、自己肯定感は、他者との比較によって得られている場合が多分にあるのではないか、ということです。「人より優れている」ことによって得られている場合がある。それは優劣の考え方を内在化させていて、EQやSEL、セルフサイエンスの考え方からすると私には違和感を感じます。なので、自尊心という言葉を敢えて選んでいます。

人はみんな「自尊心タンク」を持っている

以前、大人のためのセルフサイエンスクラスで『すれ違いと、5つの愛の言葉』というクラスを担当しました。

このクラスでは、アメリカでとても有名な書籍「Five Love Languages」ゲイリー・チャップマン著(邦題は「愛を伝える5つの方法」)の中で語られる内容から、ラブタンクについても触れながらワークを行いました。

「ラブタンクはひとりひとりが持っていて、ひとりひとりそのタンクを満たせる方法(言語)が異なる」という点が1番大切で基本的な、その名著のメッセージだと思っています。そしてクラスでも振り返りの中で、「自分で自分のラブタンクをまず満たしてみたいと思った」という感想もありました。

今日このコラムに書きたい「自尊心タンク」のポイントは、そこです。

自己肯定感は優劣の上に得られる場合がある、自尊心は自分の中に光を当ててくれる

冒頭に紹介したセレブレイト・レターというワークに、他者は出てきません。あくまで自分で自分を見つめ、自分へメッセージを書きます。優劣をつけることは、EQのレンズから見るとまったく本質的ではありません。私は優劣なんてつけてない!差別なんてしていない!と思われる方もいるかと思います。ですが、競争社会でありながら同調圧力の高い社会は、誰にとっても生きやすいだいじょうぶな社会である、と言えるでしょうか?社会は知らぬ間に私たちの価値観に影響を与えていて、知らぬ間に、本来私たちの個人のものであるはずの感情すらも支配されることがあります。

「(本当はマイペースに自由にやりたいのに)ちゃんとやらなきゃ!がんばらなきゃ!」という、私がザ・優等生だったころ毎日のように口にしていた言葉なんて、最たる例です。そして私は頻繁に体を壊したり、違和感についていけなくなって、小学生の頃はほぼ不登校(学校には行くけれどすぐに早退をする)だった頃がありました。

自尊心タンクには、どんなに些細なことでも、「自分で自分が誇らしい」「自分で自分に感謝をしている」という、誇らしい(proud)と感謝(gratitude)が鍵となるでしょう。些細なことで本当に大丈夫。「昨日の夜に炊飯器のタイマーをセットした私、ありがとう!!」だって大丈夫。

でも、普段から「自分なんて」と謙遜することを美徳とする社会だと、その目線や発想を持つこと自体とっても難しいんですよね・・・!社会が私たちに求めるふるまいというのは、知らぬ間に染みついていますもんね。

私たちはメッセージを感じている、脳は言葉をそのまま受け取っている

数年前にクラスの中でさおりさんがキーノートで話したことが印象に残っている内容でもありますし、今年の特別クラスでKeiko Satoさんが教えてくれたことでもありますが、大人のように「裏は何だ?」などと勘繰らない幼い子どもたちは、言葉をそのまま一言ずつ聞いているわけではありません。みなさんもご経験があると思います。それよりも、その雰囲気や身振りや言い方といった全体で、相手の真意や本心といったメッセージを感じ取っています。すなわち、「やるのやらないのどっちなの!」は(いいからやりなさいよ!)など。笑 そんな子どもたちもだいたい10歳くらいを境に、大人の思惑を読むようになるなと子どもたちにクラスをしていると感じます。「こういう答えをしてほしいんでしょ?」と。誰がそうさせているんでしょう――この話はまた別のコラムで書きましょう。

感情には伝播するという特徴があり、それは特に高い所から低い所へ、大きい方から小さい方へ伝播するし、また感情も種類によって強弱やスピードがもともと異なるので、より強さを持つ怒りや軽蔑などといった、いわゆる『強く不快な感情』の方が広がりやすいです(DAIJOUBUでは、感情をネガティブ・ポジティブ、プラス・マイナスなどと表現しません)。

一方で、です。脳そのものは、言葉をそのまま受け取ります。さらに言えば、脳は主語を理解しません。「私はバカだから」と言えば、『私はバカなんだ』とキャッチするし、「お前なんて使えない!」と言えば『私は使えない』となる。言霊ですね。

かと言って自分の感情を見ないふりをして無理やりポジティブな言葉を発し、自分に嘘をつくのは違うように私は思っていて、「私、怒ってる!」や、もしできれば「私、〇〇に怒ってる!」とか、「私、すごく残念だ」とか「私、〇〇が△△になってしまったのがすごく残念だ」と、自分の気持ちの実況中継ができるととてもEQアプローチで、そこから次の段階に進みやすくなります。

自分の本当の感情をキャッチせずに言葉を野放しにし続けると、相手も自分も知らぬ間に不快にさせ、知らぬ間に自分からも相手からも力を奪っていくことになります。自尊心を育む、の真逆です。そんなの、私は悲しくてしょうがないんです。だからEQとEquityを拡げる、使えるように伝えていく活動をこうして続けています。

完璧じゃなくて大丈夫、視野と行動への少しの意識が、自分と他者の自尊心を育む

自尊心は、自分から始まります。ちょっと疲れちゃっていて、言葉が野放しになっているときなんて誰にでもあります。私含むDAIJOUBUのメンバーにも、もちろんあります。そんな自分を発見したら、「私いま大丈夫じゃないです」と、せめて自分に言ってあげられたらいいなと思っています。一度立ち止まって、自分に「〇〇が悲しいんだよね」「本当は◇◇したいのに、□□になっているのが悔しいんだよね」と声を掛けたい。

そうして小さな小さな自分へ向ける意識の積み重ねが、自分の自尊心を育み、周囲にも安心をもたらします。

2024年もDAIJOUBUは、EQと公平性(Equity)を柱に活動します

ソーシャルジャスティスと人権を専攻して取り組んでいる修士課程も、あと残りわずかとなりました。本当は、社会も学校も会社も家庭も、「私いま大丈夫じゃない」と誰もが声に出せるといいなと思っています。そして同時に、純粋にEQだけに取り組んでいると、解釈次第では、権力や構造のスムーズな運営に加担することになることに、タフな修士での研究活動を通じて確信を持っています。そしてそれは、絶対にあってはいけない。

DAIJOUBUは、2020年に『すべての子どもたちに だいじょうぶ な世界を』というミッションで始まりました。それぞれバラバラで自然なはずの個の声が聞かれず、排除され消されていく社会のどこが、すべての子どもたちにとって だいじょうぶ な社会なんでしょう。だから、私たちは2024年も活動を続けていきます。

「だいじょうぶな社会」を心を込めて、逃げずにつくっていこうとすると、DAIJOUBUがDAIJOUBUとしてソーシャルジャスティスやEquityについて真剣に取り組むことはとても自然なことです。DAIJOUBUはEQだけでなく、ソーシャルジャスティスやEquity(公平性)、inclusion(包括性)、diversity(ダイバーシティ)、belonging(居場所感)(総じてDEIBと表現します)を含んだクラスやコースを開発し、提供してきました。2024年も定期クラスの開催に加え、認定コースの開催、新たなコースの開発と、DAIJOUBUらしく活動をします。ぜひご参加をお待ちしていますし、団体としてのコラボレーションや、EQ・Equityに関する講演・講師のご依頼、SELクラスや授業のつくり方に関するご相談など、いつでもご相談ください

みなさんの2024年が、楽しいときも、苦しいときも、いつでもだいじょうぶと思える光で包まれますように!

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