「自分に合う◯◯」って? ~学生や若い世代の皆さんへ~
2022年。コロナの終息がみえない状況が続いていますが、それでも時間は進み、今年も春が来ました。4月の私は、新入社員の研修や、学生の就活相談が増え、忙しくなる月。今回は、そんな時期だからこそ、就労支援に関わる立場から学生や若い世代の皆さんに向けて書いてみようと思います。
4月中旬になり、大学生生活の半分以上(短大生は2年間全部)をコロナ禍で過ごし、思い描いていた学生生活が十分送れず、授業もほとんどオンライン、課外活動やアルバイトも思い切りにはできず、「ガクチカがない・書けない」「やりたいことがわからない」「周りは内々定が出だしているがまだ自分は決まらず焦る」と悩む就活生が、また、昨年就活生で4月から社会人になった方々からは、就活ほぼオンライン、実際に入社してリアルな現場に出た瞬間、想像と違ったと違和感を感じたり、どういう風にリアルにコミュニケーションをとればいいかわからないなどで、入社数日で退職した、続けるか転職するか等の悩みを抱えて相談に来られる若い人達も少なくありません。コロナによる影響で、これまでに経験したことのない状況や相談内容が来て戸惑うこともあります。
どんな状況であっても感じてしまう「不安」
この時期、内々定などをもらい進路が決まっている、絶賛就活中、これから動き出そうとしている等、就活をめぐる状況は様々。
すでに進路が決まっている方は、進路が決まった安心感は大きいものの、入社するまで約1年という長い時間の中で、社会人になる不安、入社する会社は自分に合ってるのか、ホントにこの会社でよかったのかなど、待機時間が長い程、迷いや不安を感じてしまうことがあるかもしれません。(かつて、わが子がそういう経験があり、モチベーションキープに苦労していました。)
今、就活中、これからの方は「どんな会社が自分に合うのか」を探す旅の途中、先が見通せない不安、縁が繋がらないことに否定されるような気持ち、自信がなくなったり、周りの動向に焦ったり、いろいろな不快な感情がうず巻きながらも、就活を通して自分を向き合って頑張っている最中。
また、就活を経て今年入社した新入社員の方々も、研修や配属など、自身がおかれる状況が目まぐるしく変わる中で、「これでよかったのか」「この先大丈夫だろうか」とドキドキ落ち着かない気持ちで毎日を過ごされていると思います。
今現在、どの状況であっても、学生から社会人になるという大きな節目を迎え、なにかしら大きな感情に揺さぶられる毎日。特に「不安」という感情は、先を見通せない、わからない、先が見えない時に湧いてきてしまう感情で、大きな節目では、人により強弱はあるものの、誰しもが持つ感情。それぞれが変化が多い今の時期だからこそ、感じてしまう、湧いてきてしまう感情です。
自分に合う・・とは
先の見通せない不安を感じる中、就活界隈でよく聞く言葉で、
「”自分に合う”会社を探したい、知りたい(教えてほしい)」
があります。不安だからこそ、安心できる「自分に合う」を探すのですが、その質問がくると、
「本当に合うか合わないかを知るには実際にその会社に入ってみないとわかりません」
とお伝えした上で、
「どういうものが”合う”と”あなたは”思ってますか?」
という質問をします。すると、すぐには答えられずその場で考えるか、休日・残業・賃金などの条件面を言われることが多いです。条件面を自分のライフスタイルや価値観に合わせることもちろん大切ですが、それ以外はふんわりしていることが多い、この「自分に合う」。それを探すために自己分析等をやるわけですが、ツールをつかってもズバリ答えがでるわけではありません。
私の「自分に合う」を振り返ってみると、最初に入社した会社は、その時にホントに行きたいと思ってたところではなく、職種も特に希望がなく会社が決めた配属先(結果それが今も続いているので、当時適性をみてくれた会社にはいまだに感謝しています)、想定外の人事異動も何度かあり、さらに、結婚出産子育てなどで転職も経験。時代も違い、情報もそれほどなかった等、環境が今とは全く違うことはありますが、就職をする前に「自分に合う」を探してから行ったのではなく、行った先で、これ自分に合うやん!と発見したり、自分で合うことを探したり、そこに自分を合わせていったことが多かったです。最初は合っていたけれど、状況がかわり合わなくなって離れたということも経験しました。
「自分に合う」は、その時々によってかなり変化していたんだということを今改めて振り返ってみて思います。
なかなか合うところがみつからない、入社してすぐに「合わない」と思って辞めた、などということがしばしばあり、自分を責めたり、自信をなくしたりして相談に来られる方にも出会いますが、それは当の本人が悪いということではなく、縁や相性の問題もあるし、「自分に合う」が変わった、入ってみてわかったということもあるので、仮にそういうことがあったとしても、大丈夫だよ!と私ならお伝えします。
納得いく選択をするための「自分の気持ち」
合わないから、はい次!とすぐに行動に移すことは悪いことではありませんが、中には一時の感情に翻弄され、感情的に行動に移したり、条件面だけや親族など近しい人の言うままに選択すると「ホントの自分はどうしたいのだろう」ということが見えなくなってしまうことがあります。
就活をすすめるにしても、転職するにしても、
「自分がホントに納得してその選択しているか」
「”自分で”選んでいるか」
は大切にしたい視点です。そのために「自分はホントはどうしたいのか?」「今の自分はなにができるか?」を考えていくわけですが、その出発点となるのが
「今、自分はどんな気持ちなのだろう」
と自分の気持ち・感情に目を向けることです。
簡単そうに見えますが、特に、感情を出してはいけないと小さい頃から教わってきた私たち日本人には、これを感じ、気づき、表現することはなかなか難しい。何をしている時に夢中になったりワクワクするか、どうなった時に嫌な気分になるのかなど、就活や転職の時だけでなく、普段から、自分の気持ち・感情に意識的に注意深く目を向ける、表現する、それを続けていく。練習も必要です(私も今もなお練習中)。それを続けていくと、「自分を知る」ことができ、「ホントはどうしたいか」が見えてきます。それが納得いく「自分に合う」選択につながっていくのです。
そして、できれば、自分の心や頭だけでそれを持っていたり、自分一人で決断するのではなく、誰かに伝える・話してほしいです。転職相談に来られる方の中に「決める前に(辞める前に)来て話してくれたらよかったのに・・・」という方がたくさんいます。コロナ禍でリアルに相談する機会や場所が少なかったり難しかったりしますが、信頼できる家族や友人・先輩、大学であればキャリアセンター、一般の方であれば私がいるような就労支援施設にはプロの相談員がいるので、とにかく話してほしいです。その中で自分の状況や気持ちが整理できたり客観視できて、より納得いく選択につながっていくと思います。
学生のための「自分を知る」セルフサイエンス
DAIJOUBUには昨年から大学生のインターンが来て一緒に活動をしてくれています。一緒にEQやセルフサイエンスについて学ぶ中で、彼女から教わることがたくさんあり、私たち大人にとっても大きな学びと影響をくれる大切な存在です。彼女自身も昨年からの就活の経験を経て「自分を知ること」「学び続けること」の大切さを日々実感する中で、自分と同じ状況にいる学生やこれから就活をする学生の皆さんにぜひ知ってほしいと、オンラインでの定期開催の学生向けのEQ・セルフサイエンスのクラスを立ち上げました。「自分の気持ちに目を向ける」「自分を知る」について学びながら話すこともできる学生専用のクラスです。大人のクラスはすでに毎月開催していますが、私自身も毎回参加する中で気づき・学びを得たり、私だけじゃないという安心、そしてそれらから次の選択や進むべき方向がみえてくるという経験ができ、とても大切な場になっています。
ちょうど今時期、不安でいっぱいの学生・若い人達にぜひ体験してほしいです。
そして、よければ一緒に作り上げていただき「自分で選び、イキイキとした自分を生きる」ことができる若い人達がたくさん増えてほしいと願っています。
ぜひ気軽にのぞいてみて、参加してみてください。それぞれの未来がみえてくるはずです。
長年、企業人事や就活支援に従事。
社会人と小学生14歳差兄弟の母。
すべての若い人達や子ども達が生きやすい社会になるように
EQを中心にこれまでの知識経験を活かし活動中。