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自分を知り、相手を知り、そして町を知る。

現在、パーソナリティを務めているFM軽井沢で「軽井沢キッズメディアラボ」という町の〇〇を知るというプロジェクトに参画している。番組テーマから、立案、取材、収録、編集まで子どもたちがコントローラーを握り、ゼロからラジオ番組を作り上げるというプロジェクトである。企画段階から運営サポートメンバーとして関わっている。今年4月からスタートして、現在4チーム目が制作中なのだが、ここまでの期間、伴走者、サポーターとして、じつに様々な気づきと発見がある。

“学校の中だけでは得られない体験”

学校という垣根を越え、町に在住する子どもたちが、異年齢、混在チームでプロジェクトを動かしていくのだ。学校という枠を飛び越えて、地域の人たちと対話する時間や、町のトップにインタビューしたり、テーマに沿って取材先を決めていく。自分たちが住む町の新しい発見、気付きから、興味、関心へと発展し、町の面白さに気付いていく。取材を通して気付いた事を自分たちの言葉で、語るのだ。取材インタビューもお膳立てされているわけではなく、自分たちがリサーチしたい場所へ電話でアポイントを取る。こういったことも子どもたちの手でやっていくのだ。まさに現場実践の環境で、本人たちが本当にやりたい!という思いが無ければ成立しない。

テーマに至っては、自分たちがやりたいこととチームメンバーがやりたいこと、異なって当然なわけだが、その時に、自分がやりたいことだけを押し通することは出来ない。どうやったら自身のモチベーションも高めながら、チームのやりたいテーマを見出すことが出来るか、ここがこのプロジェクトの肝だと思っている。先ずは自分のやりたいことは何か?という自身への問いから始まり、最後は、どうやったら、メンバーも共感してやってくれるだろうか?という説得することも必要になってくる。それぞれのやりたいことがぶつかる場なので、全員が納得した番組テーマを決定するのは容易ではない。

自分がやりたいことは何か?自分と思考する時間

学校内での活動とは異なり、先ずもってこのプロジェクトは、自分たちの意思で参加しているということが大きい。不安や緊張はあるものの、普段とは異なるプロジェクトに興味を示し、当たって砕けろ精神で、実際の制作に入っていく。そして数値で評価、判断される基準もない。リスナーの心にどう言葉や内容が響くか、ここは子どもたちのやる気と思いが無ければ成立しないのだ。自分は何を考え(What)、なぜそう思い(Why)、どのように行動するのか(How)、まさにEQの要素が沢山詰まっている。

最後の最後まで問われるチーム力

番組を収録して、はい、終わり!ではないのが、このキッズメディアラボの特性かもしれない。最後、放送する番組の編集までがこのプロジェクトの仕事なのだ。初めて見る音楽編集ソフトを活用しながら、ああでもない、こうでもないと言いながらも、作業が進んでいく。

直近のチームのやり取りに印象的なシーンがいくつもあった。どうにもこうにも28分間という番組の尺におさまらず、どこをどうカットするのか?議論は続いていた。もう適当にカットしちゃうか?と投げやりになる者。その前から気になるところを探していこうよ!と提案する者。3時間以上も経過した頃、疲労感もあって、もういいか、という空気も全体に流れたが、編集に立ち会えなかったメンバーのシーンは「この場にいないのに、カットするのはやめよう!」と話したり、上手くいかない編集に苛立ちを覚えるメンバーに対し、「落ち着いて、ここもう一回やり直してみようよ、出来るよ、大丈夫だよ!」とポジティブワードの声掛けをする者など、実に見ていて面白い。

聴き心地の良い番組では、決してないかもしれないが、大切なのは、体裁の整った番組を完成するこではない。そこに至るまでのプロセスの中で沢山の気づき、学びが潜んでいる。この一連の作業を通して、チームメンバーの底力が問われるわけだが、完成した作品以上に、そこで生まれた強固な関係性、信頼関係に満ち溢れた空気感が徐々に醸成されていく。番組制作が終わった後の爽快な表情と来たら!伴走者として、これに勝る瞬間はない。そして何より大事なのは、子どもたちがこのプロジェクトを思い切り楽しんでいる!ということだ。

こういった先が決まっていない、未知のプロジェクトでは、とにかく不安は付きまとうもの。自分のやりたいこと、メンバーがやりたいことをどうやって話し合い、思考し、具現化させていくか、これは実社会の中で普段大人たちがやっていることでもある。このチャレンジから、自分を知り、相手を知り、そして町を知る、そういったきっかけとなる場所、それが軽井沢キッズメディアラボ なのだ。

軽井沢キッズメディアラボ
https://note.com/fmkaruizawa_kids

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