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シナプス・スクールの「個」を大切にする教育とは

今月7月30日に、DAIJOUBUでは二回目となる、米国シナプス・スクールのKeiko Sato-Perry先生をお招きしてのイベントが開催されます。テーマは『個を大切にする教育・子育てとは』。
そこでこれに先立ち、Keiko先生のいらっしゃるシナプス・スクールではどんな風に『個』を大切にしているのか、ホームページからの情報を中心にご紹介したいと思います。(より生の情報は当日Keiko先生からお伺いできる予定です!)

※シナプス・スクールがどんな学校かはこちらの記事をご参照ください。

大切にされる「EID(エクイティ, インクルージョン & ダイバーシティ)」

米国でも最先端の教育を実施するシナプス・スクールにおいて、EID(エクイティ, インクルージョン & ダイバーシティ)は近年特に注力されているテーマだそうです。ご存知の方も多いかと思いますが、エクイティとは公平性、インクルージョンとは違いや個性を認め、全員を包括すること、ダイバーシティとは、国籍、性別、ジェンダー、宗教などなど多様な背景を尊重し、受け入れることを意味します。

インクルージョンやダイバーシティは日本でもずいぶん使われることが増えてきましたが、エクイティは耳慣れないかたもいらっしゃるかもしれません。エクイティ(公平性)とは特に貧困の差(高学歴で裕福な親の子どもは良い教育を受けて良い職につき、裕福でいられる、逆もまた然り、という社会構造)を背景に近年注目されている概念のようで、子どもの能力や個性に合わせて必要な教材やサポートを与え、家庭環境などに関わらずすべての子どもたちに成功の機会を平等にしよう、というものです。(「平等」と対比して描かれたこちらのイラストがわかりやすいです。)

つまり、EIDは子ども一人一人のあらゆる違いを受け入れ、互いが認め、補い合い、一人一人に必要なサポートを提供していこう、という考え方と言えます。教育者としては子ども一人一人を「個」として知り、尊重し、何を必要としているか見極める姿勢が求められるでしょう。一つの基準や方法をすべての子どもに当てはめようとする従来型のアプローチとは全く逆方向なのです。

シナプス・スクールのEIDについて書かれた専用ページには次のように書かれています:

シナプス・スクールは、人種や性別、ジェンダー・アイデンティティ、ジェンダーの表現、性的指向、身体的能力、社会経済的立場、家族構造、信仰、祖先、国籍、医学的状態、遺伝情報に関係なく、生徒、家族、教職員にとってインクルーシィブな共同体、および安全な学習環境を育むことに取り組んでいます。私たちは、目に見えるものも見えないものもすべての違いを尊重し、称賛します。私たちは、共感力を高め、世界でポジティブチェンジを生み出す方法として、多様な見方を尊重し、探索し、理解することを学ぶことが、すべての生徒にとって利益あるものだと考えています。

こうした強い意志のもと、シナプス・スクールでは現在外部の専門機関と提携して、先生、スタッフ、保護者に学びの機会を提供したり、カリキュラムや評価に正しくEIDの考え方が反映されているかチェックしたり、歴史的に過小評価されてきた生徒たちのサポートプログラムを整えたり、安全で偏見のない親和的な場づくりに努める、などの取り組みを行っているそうです。

人種や文化の多様なアメリカだから必要なんだ、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、肌の色や宗教、話す言葉が違わなくても、正確、能力、関心、育つ環境も、家族構成などなど、ここ日本においても私たち一人一人が違っていることに変わりはないのではないでしょうか。

個を大切にするシナプス・スクールでの子どもとの関わり

これはKeiko先生に伺った話ですが、シナプス・スクールでは年に四回、先生と保護者の面談(Parent-Teacher Conferences)が行われるのですが、その最初の面談では、先生からではなく「保護者から先生に」子どもについての話をするのだそうです。そして先生はその情報をもとに、その子の関心のあることをクラスに取り入れたり、その子の文化や人種を反映した本を必ず教室に置くようにしたりするといいます。シナプスの子どもたちは「クラスに自分が反映されている」「自分はこのクラスの一員だ」と感じられるようになっているわけです。

また、シナプス・スクールではPEP(Personal Education Plan;個人別教育計画)というものがあり、毎年子ども一人一人と先生が話し合い、「シナプスの学習の狙い」(前回記事参照)の9項目を中心に、自分で目標を設定することになっています。そして通知表であるレポートはこの内容をもとに作成されるのだそうです。つまり、評価はあくまで一人一人の目標に対する評価であり、「個」に基づいた絶対評価となるのです。

私たちに何ができるのか

一人一人の「個」を大切にする教育は素晴らしいけれどシナプス・スクールのような”アメリカの特別な私立の”学校だからできるんだ、と考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに今すぐに学校教育の在り方を大きく変えることは難しいでしょう。でも私たち一般の教育者や保護者にできることは何もないでしょうか?

Keiko先生とのワークショップ『個を大切にする教育・子育てとは』では、EQワークを通じ、「個」と、その反対の概念である「みんな」とは何か、などを探索しながら、私たち一人一人が「個」を大切にするために何がしたいのか、できるのか、共に感じ、学んでいきます。

Keiko先生のお話を直接聞くだけでも、個を大切にするってどんな雰囲気か、きっと感じていただけることがあると思います。

初めての方も、慣れない方も、私たちは「だいじょうぶ」な場を心がけています。専門的な知識は何も必要ありません。ぜひ安心してご参加ください。

たくさんの方々のご参加、お待ちしています!



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