感情知能EQが成功につながる3つの理由

Six Secondsグローバルオフィス・北米オフィスの社員になって半年になりました。
私のポジションはグローバル全体のソーシャルインパクト事業の管理運営、北米エリアの認定コースおよび認定者コミュニティの管理運営です。EQを学ぶ場所のファシリテーション・認定者1人1人のサポート・学びを意義あるものにするためのデザイン・プログラムをグローバル展開していくための文化的多様性を加味したデザイン作業などなど、広く深く活動しています。最近、グローバルオフィスと北米オフィス両方にコミットしている&現在取り組んでいるEQコーチ・EQコンサルタントの資格を通じて、組織と個人のEQ開発とそれがもたらす効果について実体験を通じた洞察が得られてきたように思います。
EQは組織と個人の成功に不可欠という認識が日本でも広まってきていると思いますが、それはいったいなぜなのか、EQに取り組む組織は何が違うのかを、このコラムでは世界最大のEQのグローバルネットワークSix Secondsで働く目線で綴ってみたいと思います。
自発的な責任とセレブレイト
英語でいうaccountability と celebrate です。
日本語でaccountabilityは説明責任と訳されるようですが、私がここで使いたいニュアンスとしては、頼まれた・割り当てられた業務に対する責任を意味するresponsibilityとは異なり、始まりから終わりまでの動機・プロセス・結果すべてについて負う責任です。自分のアイディアで目的を定め、そのためのタスクを決める、その一連を誰かに言われてやるのではなく自発的にすること。
セレブレイトはDAIJOUBUでもよく活用します。これはお祝いを意味しますが、シンプルにyay!(やったー!)と、感謝というニュアンスもあります。
グローバルオフィスでは月曜にチェックイン・金曜にチェックアウトミーティングがあります。月曜日は今週何を成し遂げるのか、誰といっしょに取り組む予定かを宣言して共有し合う時間で、かなりスピーディーに共通メモを全員で同時に編集し、確認し合って解散。一方金曜日はとてもゆるく、誰も怖い顔で参加せず(笑)、それぞれの進捗をセレブレイトし合って週末どんな息抜きをするか話したり、EQツールを使ってチームビルディングをしたりしています。先週はものすごく忙しい週でしたが、このチェックアウトミーティングではその忙しさについて何が具体的にチャレンジングだったのか、そんな中でも何か面白さは発見できるか、どんなセレブレイトを自分に・誰かに送るか、シェアをしてお互いによくやったねと話すのが基本です。
意図して設計されているチェックイン・チェックアウトミーティング、上下のニュアンスはなく、職種的な意味での自分の立場にオーナーシップ(当事者意識)を高いまま全力で働ける環境、誰か一人だけが評価する権限を持つのではなくお互いの達成を表現し認識し合うセレブレイトの習慣。これによって、「恐怖」「不安」といった感情が和らぎ、あるいは起こる必要が減り、高いパフォーマンスが維持されています。
信頼を土台にしたマインドセットとコミットメント
Six Secondsの一つのツールに、バイタルサインがあります。これは、信頼を中心としてリーダーシップ・チーム・組織を振り返るためのツールです。組織全体に、「信頼は土台である」という共通のマインドセットがあります。また信頼構築は長期戦で、失うのは一瞬だということも理解しています。先日翻訳記事を紹介した『信頼の方程式』『信頼の構築・崩壊・再構築—信頼を育む2つの方法』というSix Secondsのコラムの内容にもありましたね。多くのメンバーが最新の記事、最新の研究レポートに目を通しています。またグローバルオフィスがそのテーマに合わせて無料ウェビナーや内部向けのミーティングを開催することがあり、多くのメンバーが時間を作ってそういった場に参加しています。自身のEQ力を常に磨く努力をしながら、最新のEQの情報をインプットをし続ける、コミットメントです。コミットメントとは長期的な努力の姿勢。打ち上げ花火で終わりません。
つまり、信頼の構築が大切だというマインドセットが共有されており、そのマインドセットを裏付ける努力の一部として自分自身のEQプラクティスを止めない・最新の情報を常にインプットし続けるというコミットメントが、内部だけでなく認定者やビジネスクライアントからの信頼も育んでいます。
質の高いトレーニングと風土
多くの社員が、自分のためにEQを学ぶために認定コースや活動に参加をして、継続的なボランティアや学びの参加を経て、ポジションができたときに職員から声をかけられる、という形で入社しています。EQの専門の団体なので、EQがカルチャーのまんなかにあること、またEQトレーニングを提供している側なので社員がEQトレーニングに参加するという環境についてはもちろん恵まれています。ビジネスの世界で契約しているパートナー会社はSix SecondsのEQトレーニングを導入したり、一部の社員・職員を認定コースに参加させていますが、そういった企業のバイタルサイン(企業のパフォーマンスレベルを測るEQ検査)はとても高いです。
社員の多くがEQトレーニングを1種以上・1回以上受け、EQが風土となりカルチャーとして行動の細部に浸透していくと何が変わるのかーーー。一番身近で、一番インパクトが大きいのは、私の考察ですが「EQ発揮の努力が双方向になる」ことだと思っています。
チームだけでなく家庭でも学校でも、ある一人・一部の人だけがEQというスキルを磨いていて、そうでない人に対してアプローチをしようとするとき、EQを活用・発揮するのに数倍のエネルギーが必要になる体感があります。チャレンジングな内容の対話をしようとしたり、難しい話題について話し合いたいときなどは一歩が出しにくくなります。日本のカルチャーにある上下関係を加味すると、新人からベテランへ・若い女性社員からベテランの男性社員へのアプローチの難しさは段違いです。とても難しくて、とても苦しい。当人あるいは周囲から批判される怖さ、すでに相手が自分に対して持っている印象を覆すことが不可能に感じる八方ふさがりの感覚、自分らしさを発揮するなどもってのほかという感覚、いまでも覚えています。
一方、全員がEQトレーニングをいくつも受けてきた&日ごろからEQを中心にしたカルチャーの中で仕事する組織では、その1つの大きな苦労の山がもう乗り越えられています。ひとつのことについていろんな解釈があること、いろんなプロセスがあることをみんながわかっています。自分の声がたとえ多数決でマイノリティの声だったとしても、聴かれるし尊重されます。そうすると、本当に大切なことに集中しやすくなる・何か難しいことが起こっても解消のための道筋が描きやすくなります。この人に対してどうやって話を切り出すのがいいのか、あるいはどの人の力を借りて前に進むか、あるいは自分の心をチェックしてタイミングを考える、などなど。自分が難しい話題を持ち掛けられた側の場合も同じです。これが批判でないことをわかっていて、誰かが解決を願っていることであり、そのために対話をしようとしているんだ、という心の準備になります。
EQをカルチャーにするために
EQをカルチャーにしていくことのベネフィット、少し伝わったでしょうか。EQをカルチャーにしていくには、まず風土をつくる担い手、理論的には、立場が上の人・声の大きい人・体の大きい人が、EQにコミットする・EQをカルチャーにする、と決めて、専門的な助けを得て取り入れていくことが大切です。DAIJOUBUではEQ検査のほか、EQを中心にした対話、EQリーダーのための研修などプログラムがありますので、ぜひご興味あればお声かけください。企業でなくても、学習塾やフリースクールなどへの導入も可能です。
またこれはコミュニティの最小単位、教室の中・家族の中でも取り組めます。おすすめは、自分図鑑 powered by Six Seconds POP-UP Festival!月に1度開催しているので、ぜひご家族みんなでご参加ください。みんなで取り組んで、違いを発見して対話を楽しんでほしいです。ホストに登録することで70近いEQアクティビティにアクセスし、自分で開催することもできます。
自分が変化の波を起こす一人になりたい方は、ぜひDAIJOUBUセルフサイエンスエデュケーター認定コースへご参加を!2025年コースは7月6日から開講です。大丈夫という気持ちは間違いなく人生を乗りこなす力。セルフサイエンスを通じてEQを日本語で育みたい方は、この夏、ぜひ私たちといっしょに取り組みましょう!(過去の参加者のコラムはこちら)
シンガーソングライター・EQエデュケーター
EQの力を心から信じるアメリカ在住の3児の母
現在アリゾナ州立大学 社会的正義と人権 修士卒業
感情知能EQと出会い、生きることがうんと快適になった経験から多くの人に、
特に子どもたちを取り巻く環境にEQを一秒でも早く届けたいと願い奔走している