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モチベーションを引き出すには…ヒントとなる5つの要素

 モチベーションがなんだか上がらないな…なんかスイッチ入らないな…なんてことないでしょうか⁉他者のモチベーションを引き出したいな…と思うことはないでしょうか。最近、モチベーションについて考えたり、先日のブッククラブで紹介した書籍「私たちは子どもに何ができるのか~非認知能力を育み、格差に挑む~ ポール・タフ著」でもモチベーションのことが書かれていたので、今回はその書籍ともう1つ「モチベーション3.0 ダニエル・ピンク著」を参考にモチベーションの要素について振り返りたいと思います。

モチベーションを強化する要素とは?

 まず、モチベーションを強化する要素とは何でしょうか?自分自身のモチベーションを上げてくれるようなものを思い浮かべてみてください。私は・・・・「この仕事終わったら飲み会だ!」とか「帰ったら大好きなウィスキーを眺めながら、ウィスキーを飲むぞ!」とかがまず思い浮かびました(笑)

 確かにモチベーションは短期的には上がるけど、報酬があるから頑張れるという外発的で持続性もあまりないかなと思います。なんなら、お酒がなくなったら一気にパフォーマンスが落ちそうです。実際に報酬があるから頑張れる外発的動機づけは短期的にはモチベーションが上がり、パフォーマンスも上がる一方で報酬がなくなった途端にモチベーションもパフォーマンスも落ちてしまうことが様々な実験で分かっています。

 逆に特別な報酬があるわけではないけれど、モチベーションが高いといった経験はないでしょうか?このような内発的動機づけで物事に取り組めているときは、没頭している状態になったりしてパフォーマンスも向上することや、創造性がより発揮されることも分かっています。このようなとき、何が原動力になっているのでしょうか?皆さんも自身の経験を振り返ってみて、何が原動力になっていたかを少し振り返ってみてください。

内発的モチベーション、モチベーション3.0の5つの要素

 内なるエネルギーから物事に取り組む様子を「内発的動機づけ」と名付けた心理学者のデシとライアンは、内発的動機づけには「自律性」「関係性」「有能感」の3つの要素があると見極めました。

 「自律性」とは、自分自身で選んで、自分の意志でやっているという実感をもつことです。Googleでは、一週間に一日、主要業務以外のテーマに取り組むことを推奨する「20%ルール」を創業当時から設けて、そのおかげで様々なサービスが生まれたようです。

 「関係性」は、人とのつながりです。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが他者から尊重されていると感じることが重要です。たしかに、まったく尊重してくれない人が周囲にいたらモチベーションは上がらないでしょうし、そもそも、「自律性」とは反対の「統制」も生まれてしまいます。

 「有能感」は、その言葉の通り自分自身できると思える自己効力感のようなものです。特に子どもたちにこの有能感を実感してもらうために、デシとライアンは「やり遂げることはできるが簡単すぎないタスク」「生徒たちの能力をほんの少し超える課題」を提示することだと述べています。

 また、「モチベーション3.0」の著者であるダニエル・ピンクは、報酬などではなく、「学びたい」「創造したい」といった動機づけを「モチベーション3.0」として現代に必要な動機づけとしました。また、その要素として「自律性」の他に「熟達(マスタリー)」と「目的」の2つの要素をあげました。

 「熟達(マスタリー)」は、何か価値あることを上達させたいという欲求です。報酬とは正反対の欲求です。また、この「熟達(マスタリー)」はマインドセット(心のあり方次第)とも述べています。心理学者のキャロル・ドゥエックは「人の信念が熟達の内容を決定づける」としています。そして、知能に関して人は以下の2つの観念を抱いているとしています。

固定知能観・・・知能とは生まれつき存在する分しかないと考える

拡張知能観・・・知能は人によって多少異なるが、最終的には努力によって伸ばすことができる

この2つを見比べると後者のほうが「熟達(マスタリー)」を発揮するのに有効なのは明白です。

 また、この「熟達(マスタリー)」を実感するためには、目標の立て方(与え方)が重要です。ドゥエックには目標には2種類あるとしています。1つは「達成目標」1つは「学習目標」です。「達成目標」は「英語の通知表で5を取る」といったような達成する値が明確な目標。「学習目標」は「英語を話せるようになる」といったような目標です。

 達成目標は比較的単純な問題の場合はよいですが、新しい状況に対応する能力が妨げられるようです。

 ある実験で中学生に科学の法則を学んでもらい、その後半数には達成目標、もう半数には学習目標を与えました。そして、新しい問題に対して今まで学んだ知識を応用するように伝えられました。すると、学習目標を与えられた生徒たちの方が、高得点を取り、さらに多くの時間をかけて他の複数の解決策を試したそうです。学習目標は頭がよいことを証明することが目標ではなく、学ぶことが目標なので、結果として粘り強く取り組む様子があったようです。

 「目的」は、「自律性」と「熟達(マスタリー)」を支える1つの足として、何のためにやっているのかといった目的という動機です。生産性が非常に高く、満足度が高い人々は自分の欲求を自分以外のより大きな目的と結び付けています。

ベースにある重要な要素は自分を知ること

 前述の要素を実感するためには、どうすればいいのか?そのためにはまず、自分自身のことを知ることではないでしょうか。もし、モチベーションが上がらないと感じていたら、ひょっとしたら気づかないうちに「自律性」が失われていることもあるかもしれません。まずは、そこに「気づく」だけでも違うかもしれません。たしかに、自律性といっても、自分でコントロールできない部分も多々あると感じることもあるかもしれません。ですが、自律性という部分を意識するだけで、後の行動や選択が変わってくるのではないのでしょうか。そして、選択するということは、それこそ自分自身の価値観や大事にしたい事などよくわかっていないと納得する選択はできないでしょう。自律性を意識することで、自分自身と向き合う機会も必然的に得られます。

 他者のモチベーションを引き出すことも同じだと思います。自律性を促そうとただいきなり自由を与えるだけでは、もちろんそれで上手くいく人もいるかもしれませんが必ず迷いが生じる人もいるでしょう。そんなとき、その人が自身で納得できる選択などができる問いをすることや選択肢を提示してあげることが大事だと思っています。そして、そこでの問いや選択肢の出し方というか、センスというものは、その人のことをよく分かっていなければできないでしょうし、日頃から自分自身にもそういった問いかけをしているからこそ、できる事でもあると思います。自分自身のことを知らなければ…というか知ろうとしなければ、他者のことも知れないように感じます。

 「有能感」や「関係性」、「目的」も同じで、「どのくらいの課題の難しさがちょうどいいか」といったことは、それこそ自分自身や他者のことをよく分かっていなければ難しいですし、「関係性」は他者を知ろうとするからこそ、尊重されていると感じるのではないでしょうか。「目的」は人生の道標のような自身の価値観は何か。それはなぜか。といったことが土台になるでしょう。こういったことを考慮しながら、物事を選択することで自然と「熟達(マスタリー)」の要素も実感できると思います。

 自分自身を知っている(知ろうとしている)が土台にあり、その上で内発的モチベーションやモチベーション3.0の要素を実感できる手立ては何か?もし、自身のモチベーション、他者のモチベーションを引き出しすうえで、これらの要素をもとにできるアクションを考えてみてください。

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