言葉から醸し出されるもの
DAIJOUBUの仲間とセルフサイエンスをじっくりと学び、1年が過ぎました。
この学びを通して、様々な出来事に対する捉え方の感度が良くなったことを感じています。
今回はその中の一つである《言葉》に焦点を当ててみたいと思います。
【言葉は人を支える力になるが、時に威力にもなる】
セルフサイエンスの学びを始める前から、違和感に感じていた言葉がありました。
それは、健常者と障害者という言い方です。
何をもって健常者、障害者とするのかを考えてみた時、それは、《できるか》《できないか》という差ではないかということです。
健常者であっても《できない》という領域はあり、障害者も《できない》と思われることも
工夫次第では《できる》ことに繋がるとすれば、その差は僅かなものにならないだろうか…
と感じていたからです。
そのような時に、こんな記事を目にしました。
ある日本人の方が、長年アメリカに在中している中で感じた内容で、
アメリカ人と日本人とでは、障害に対する考え方が大きく違うことが書かれていました。
そもそも英語では、障害者(disabled people)とは言わず、
障害を持つ人、障害と共に生きる人(people with disabilities)という言い方をする。
子どもの場合は、障害児(disabled children)とは言わず、
特別ニーズのある子ども(children with special needs)と呼ぶのが一般的だとありました。
あくまでも『人』に焦点を当て、私たちは、人間として同じ権利があることを強調する。
そして、アメリカではごく自然なかたちで子どもの頃から学んでいくそうです。
私が違和感として感じていたのは、障害者ととの対比として使用する健常者という
言葉でした。しかし、個に焦点を当てると、こんなにもニュアンスが変わり、
心地よい言葉になることを実感したのです。
日本で度々取り上げられる《不登校》という言葉も同じです。
この言葉が存在することで様々な意図をもって学校に行かない選択をしても、
この言葉によって一括りにされてしまいます。
時に言葉は威力になってしまうのです。
個に寄り添って言葉が選び取られるとしたら、もう少し違う要素を含めた言葉が
うまれるのではないかと感じています。
『言霊』という言葉があるように、言葉にはある一定の力があります。
感情と思考をブレンドした言葉は、人の意識を変えることができ、人の心に浸透するのです。
自分自身も相手にも心地良く、且つ自分の内側も探索できる言葉の選び取りが大切になります。
言葉は、威力ではなく、人を支える力として用いたいものです。
その為に、言葉を選択する人が自分を知るという、セルフサイエンスは欠かせません。
【言葉は、人と人を紡ぐもの】
最近の出来事として、私が子ども達と関わりをもつ、学童保育の一コマをご紹介します。
当校は、パイオニア ランゲッジ スクール(英会話スクール)に併設された学童です。
EQプログラムを取り入れていることから、普段の関わりの中で、
外国人講師も感情にフォーカスした質問”Tell me, how are you feeling? ”を投げかけています。
しかし、最近の子ども達の答えは、端的に”I don’t now”と答えることが多く、
外国人講師から非常に違和感を感じるという話がありました。
私自身も、折に触れ感情は大切な自分へのメッセージだと伝えていることもあり、
これはスルーしてはならないと感じました。
そこで、子ども達にフィードバックする為には体感が一番良いことから、次のことを行いました。
・時間として20分間
・子ども達から何か話があっても、返答は”分からない”のみ
・どのような反応をするか?
開始早々に、子ども達は私の異変に気付きました。
★何故、”分からない”しか答えないの?
★何だか気持ち悪い…
★モヤモヤする…
★今日の先生、変
★病気なのかな…と次々に声をあげる子ども達。
その後、私の返答にどのようなことを感じたかを聞くと、少々興奮気味に、
★どうしたのだろう…
★おかしい…
★超、モヤモヤした‼︎という反応があり、
最後に、こんな問いをしました。
Q:昨日、レッスンの時に先生から”How are you feeling?”と聞かれて、 何と答えたのかな⁈
子ども達は、一瞬答えに詰まりました。
そして…そういうことか…と自分の発言と体感した内容を重ね合わせる姿がありました。
《気付きとして…》
★言葉は、見えないから大切に扱った方が良い
★自分の言う言葉で,相手をHappyにもできるし、嫌な(心配)思いもさせてしまう
★あんまり良く考えずに言ってしまった言葉ほど、相手に影響を与えてしまうのかもしれない…
★言葉に感情が乗っかってしまうのだ!
人がコミュニケーションのツールとして使う言葉ですが、思った以上に感情が乗ってしまうのも事実です。
言葉には、力があるからこそ、良く吟味する必要があります。
子ども達が気付きとして得られた姿を見ながら、意図をもって行動するためには、
Why(なぜ、そうするのか?)が必要で、Whyこそ、人のアクションの原動力だと感じました。
Whyが、感情と思考をブレンドすることで明確となり、意図をもって言葉を用いる時に、
人と人を紡ぐものになるのだと思います。
今回の子ども達が得た発見の種は、体感として残り、
日々の生活の中で意識として植え付けられることでしょう…。
最後に、今年最後の大人のセルフサイエンスクラスのご案内です。
セルフサイエンスのクラスでは、自分の内側を探索できるように言葉を選びながら、
自分の思わずフタをしたくなる領域にも、無理なく覗いてみることができます。
今年最後のテーマは、《ギフト》です。
これからクリスマスを迎えますが、ギフトという言葉に含まれる色々な意味を兼ね合わせ、
楽しく、無理なく皆さんと探索してみたいと思います。
皆さんにお会いできることを楽しみにしています🎄
児童養護施設の職員を経て、子どもの関わりにEQの領域が必須であることを実感。
現在、学童保育にEQプログラムを導入し、子ども達とワクワク感を体感中です。
すべての人が、 心から【だいじょうぶ】だと思える世界をつくりたいと願い、活動中です。