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「感情は伝播する」 指導の中で大切にしている2つのこと

 「感情は伝播する」EQを学び始めたときに、印象に残った事実の1つです。振り返ると自分の感情が相手に影響を及ぼしたりその逆も然りということが沢山ありました。特にスポーツは分かりやすかったです。私は、3年前までサッカーを本格的にやっていたのですが、際どい試合の中で失点した場面。「がっかり…」という感情が知らぬ間に伝播してそのまま集中が切れてしまう場面。逆に先制点を取って「イケる」という感情が伝わって一気に勢いに乗るということを思い出しました。スポーツでは、結果やパフォーマンスにすぐに現れて分かりやすいのですが、同じことは、普段の生活でも多く起きていると思います。

 今回は、「感情は伝播する」ということを踏まえて私自身が普段の教育(療育)で大切にしている2つのことを紹介したいと思います。

「自分が楽しむ」

 普段の指導の中で、まず大切だと感じて実践していることが「自分が楽しむ」ということです。なぜなら、つまらなそうに指導しているときと楽しそうに指導しているときでは子どもたちの集中力も意欲も変わってくると身をもって感じたからです。教員をやっていたときは授業するのが「得意な単元」と「苦手な単元」があったのですが、前者のときはイキイキとした子どもの姿がる一方で、後者のときは眠気との戦いをしている生徒もいました。(笑)

 「自分が楽しむ」というのは、指導中に無理にハイテンションになるという単純なものではありません。(私は、だいぶテンション高く楽しんでますが 笑)無理にハイテンションに「楽しく見せよう」とするのは、逆に無理している感が伝わってしまいます。そんなことはしなくても、「こんなことやってみよう。これやったら上手くいくかな?等々」考えながら指導準備をしていくことで、自然とワクワク感が出てきて、指導が始まれば自然と楽しさが湧きあがってきます。そして、その楽しいという感情が、意識しなくても言葉の1つ1つや態度や表情に現れて子どもに伝わると思っています。

 私は現在療育の現場で、いざ指導が始まると子どもたちが予想外の反応をすることも多くありますし、準備した様々な手立てが上手くいかないことも多々あります。ですが、予想外の反応には「そう来ましたか!」や手立てが上手くいかなかったときは「これじゃダメだったか~!」と心の中で思いながら、その場で臨機応変に対応したり、次回の指導を考え直したりすることを楽しめるようになってきました。「楽しむ」という感情は「子どもの心に火をつける」これは、今の現場に来てとくに学んだことです。そのために、自分が楽しむということをとても大切にしています。

「常にフラット」

 2つめは、常にフラットということです。「先生」と呼ばれるなかで、子どもたちとの間に「立場」の違いはあります。ですが、人としては平等であり常にリスペクトすることを忘れないようにしています。この立場の違いは、知らず知らずのうちに、リスペクトを忘れさせてしまうことがあると感じています。実際、私も子どもの意見に対して理由も聞かずに否定から入ってしまったことや、自分の考えを押しつけてしまっていたことがありました。そして、その時、子どもの心が離れていると感じたり、子どもがつまらなそうに生活していると感じました。その時、子どもにもその考えに至る背景や理由、感情など様々なことがあるはずで、まずは、そういったことを聞いたうえで、話をしなければいけないなと思いました。いつの間にか「先生の言うこと聞いとけよ」というスタンスが心の中にあり、そこには子どもに対するリスペクトがないということに気づきました。そして、それが子どもに伝わることで、子どもの心は離れていったのです。

 少し話は飛躍しますが、体罰や暴言といった現代の教育の問題の根底は、先生と子どもという「立場」だけでなく、人としても上下関係(服従関係)があるというリスペクトの無さが要因だと感じています。

分かってはいても・・・

 「自分が楽しむ」分かってはいても、とくに今の公教育の現場では、そんな余裕すら無い…という現状があります。(学校によって差はあるでしょうが)日本の中学校の教員の平均残業時間は1ヶ月で80時間程だったかと思います(過労死ライン越え…)そして、そんな余裕の無さは時に、「フラット」ということも分かってはいても忘れさせてしまうことがあるかもしれません。この辺りが改善されたとき、本当に日本の教育がより良くなるのかなと感じています。

 

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