1. HOME
  2. ブログ
  3. 個と個、が等しく時間を分け合い語り合うとき

個と個、が等しく時間を分け合い語り合うとき

2月末の3日間、オンライングローバルフォーラムが開催されました。テーマは「SELとアンチレイシズム」。感情知能EQのSix Secondsグローバル、共感力を体感するのにとてもパワフルなフレームワークを持つNarrative4、アイデンティティを語り合うナラティブ教育のパイオニアであり素晴らしい実績を持つSEEDの3団体によるイベントでした。

私はメンターとして、3日間、毎日始まりと終わりにあるホームグループとメインセッション内での小さなグループのファシリテーターを務めました。

200名以上が集まり、1日目はアイデンティティ(Six Seconds)、2日目は居場所(SEED)、3日目には社会(Narrative4)、という風に、目線とテーマを内から外へと広げていくように、毎日語り合いました。語り合った、というのも、”ディスカッション”を行ったのではなく、”ナラティブ”、自分の物語を自分で語った、のです。

等しく分け合った時間で、自分の物語を語るということ

ホームグループでも、メインセッションでも、みんなで時間を時にはきっちり・時には心掛けでなるべく、等しく分け合います。

  • 自分が集団から孤立している、自分だけ特別である、と人生で初めて感じたときのこと
  • 自分のアイデンティティを5つ選び、中でも一番自分にとって最も大切なものについて
  • 名前ストーリー
  • コミュニティとは何か、つながりとは何か、を人生で一番感じた経験

3日間で語り合ったテーマはこれだけではありません。いくつか提示されている中から選び、それについて1~2分で、あるいは宿題として事前に準備をして、語ります。

Narrative4の手法は今まで考えたこともなかった、とっても新しいフレームワークでした。いつかDAIJOUBUでも共感をテーマにナラティブイベントを開催したいと思いますので、ぜひご参加くださいね。

時間を等しく分け合い、自分の物語を語り、誰かの物語を聞く、この時間はとっても特別です。体感して頂きたい所ですが、言葉にすると「立場を超える」「個としてひとりひとりが等しく重要であると感じられる」「全員に、ひとりひとりに、とてもパワフルで美しいストーリーがある」ということです。

Feel Vulnerable(自分のちっぽけさを感じる) から Feel Connected(つながりを感じる)へ

毎日メインセッションの前半と後半には、名立たる・でありながらとってもウェルカミングな素晴らしいゲストのミニスピーチと、パネルディスカッションがありました。一部ご紹介します。

SELとアンチレイシズムを、この学びからどう行動にしていくのか、というパネルディスカッションでは、インドの若きリーダー、Aaryan Salman氏の言葉が参加者たちを一つにしました。

「SELはatmosphere(空気)であり、カルチャーであり、私たちの中に染み込んでゆく基本的な姿勢であって、レクチャースタイルやteachによって伝えることも学ぶことも、絶対にできない」

アメリカ民主党下院議員のAyanna Pressley氏。黒人コミュニティや家庭内で自らも苦しい経験をしてきた中で、女性の自立支援などを行ってきた方。彼女のスピーチはパワフルで、弱者の側に立ちながらわかりやすくやさしかった。大人ひとりひとりの、個に向き合う、その背景を慮る態度が求められているという話が心に残りました。

スリランカ出身の作家Ru Freemanの言葉はやさしくて美しくて、とってもダイレクトでした。人と人を繋ぐのは共感であり、同時に好奇心。作品を通じて、実際に起こった出来事と人々をつなげたい。これは遠い国で起こった誰かの物語ではなく、私たちの物語で、いかに政治が、力が、私たちに作用しているのか、そして、私たちが信じて続けるひとつひとつの積み重ねがもたらす変革の、私たちの物語だから。

チャット欄で飛び交い私も共感したのは、SELの学びであったり、アイデンティティの話をするというのは、どこか痛みを伴うものであるのは確か。でも、それを引き受けること。そして、安全な場所であれば、信頼できる場所であれば、その一歩を多くの人が踏み出せる、自分にオープンになることを許可できる。そして、更に信頼が大きくなる、コミュニティとしてつながり合うことができる。そしてそれはオンラインで、国境をいくつも超えて繋がったコミュニティであっても、全員が肌で心で、しっかりと感じました。

憧れの人との対面

アナベル・ジェンセンという方をご存知でしょうか。セルフサイエンスの生みの親と言って過言でない、SEL教育のパイオニアというべき存在の、80歳を超える現役中の現役の、大ベテランです。

初日、小さなグループにランダムに振り分けられ、さぁファシリテーターがんばるぞ♬とブレイクアウトルームに入るとそこにはアナベルが・・・!

最初のコラムでも書きましたが、私がEQ・セルフサイエンスと出会ったきっかけが、アナベルの書いた記事でした。私にとって彼女は永遠の憧れであり、命の恩人でもあります。

アナベルの言葉は1つ1つがあまりにパワフルでした。アナベルの熱狂的なファンではありますが、アナベルのファンは私だけじゃありません。キリっと、エビデンスと経験と心を使ってスマートにお話をされる姿勢やパッションも、どんなに若い私たちの話もものすごく温かく聞いてくださるまなざしも、ユーモアを交えて場を和ませ勇気をくれる一言も、とってもかっこいい。そんな80歳に、私もなりたいです。

しばし自分がファシリだったのをすっかり忘れそうになるほど全身とハートに鳥肌を立たせながら、ご褒美のようなスモールセッションを体験しました。

ジャッジメントから好奇心へ、ウイルスから窓へ

3日間たくさんの小さなグループで対話をしました。日本から唯一の参加、という状態だったのも手伝い、何を話しても(名前の漢字1文字1文字に意味があってとか、結婚をするとどちらかが姓を失うことになり95%以上が女性がそれをしているとか、オリンピックの森氏の話は日本では何も珍しくない話なんだよ、とか)本当に驚かれましたが、これだけの多くの人が、これだけ世界中の様々な場所から集まると、「違う」ことは当然です。ですが、たとえば4人で写る写真の右下の女性はカリブ海の島バルバドスから参加したEQコーチでしたが、彼女の話に、私はいくつもの共感ポイントがありました。

人と人が2人以上集まるとき、視点も経験も、単純な足し算どころのバリエーションではありません。対話をして、それを「意図的に聞く」(傾聴)をすると、その人の物語が自分の中で生き始める感覚がありました。それは、新しい発見も、共感することも、どちらもです。

自分にとって新しいことを、ジャッジして、異質なもの=ウイルスだと捉えれば、攻撃をするでしょう。免疫システムの基本的な機能としては正しい”反応”であると言えます。でも、私たちは人間(human beings)で、意識を向ける、意図的になる、ことができます。ジャッジするのでなく、好奇心を持つこと、ウイルスでなく新しい窓なんだと捉え、そこから何か取り入れること(せめてそれを眺めること)はできます。”反応”から”対応”へ。意識を向けることは、今この瞬間からできます。

もっと心理的安全な場所が必要

ここまで読んでくださりありがとうございます。3日間の体験を書き綴っていますが、この学びの旅は1月後半から始まって、まる1か月、トレーニングや個別学習やファシリテーター同士での打ち合わせなど、本当に思いと時間をかけました。ここで繋がったたくさんのスペシャルな出会いと、お互いに良い影響を与え合える関係に、心から感謝しています。そして、今回このイベントに誘ってくれ、アナベルと同じグループにもしてくれた(たぶん偶然だったけれど)Six Seconds CEOのJoshに!

最後のこの写真は、私の受け持ったホームグループです。アメリカ・イタリア・インド・ケニア・キプロス・日本から集まったメンバーでしたが、2日目にはホームとみんなが感じました。

そして私たちは思っているより同じで、思っているより違う。それも含めて、怖くない、と思える空間が、もっともっと必要だと確信しました。

DAIJOUBUのしている活動と理念に自信を持つこともできました。


DAIJOUBUは、春から始まる2つのコース(子ども向け・大人向け)と、特別クラス第2弾に向けて、準備をしています。もっと多くの人が心から「だいじょうぶ」と感じられる場所が増えますように、これからもコツコツと、活動を続けていきます。

関連記事

NEW articles

最新情報はこちらから