大人のためのセルフサイエンス開催レポート『妬みと嫉み』

DAIJOUBUでは、毎月、大人向け、子ども向けに3つの定期クラスを開催しています。
ファシリテーターは、DAIJOUBUで共に学ぶアレンジャーズが担当しています。
今回は、12月に開催した「大人のためのセルフサイエンス」クラスをご紹介します。
「大人のためのセルフサイエンス」は、毎回1つのテーマを設定し、「自分のプロ」になることについて学びます。いまの自分がよくわかる、次の行動が見つかる90分の本格的なEQクラスです。
12月12日開催分のテーマは『妬みと嫉み』。ファシリテーター”えばちゃん”によるレポートをお届けします。
良い嫉妬と悪い嫉妬
12月のセルフサイエンスクラスは、「妬みと嫉み(ねたみとそねみ)」をテーマに実施いたしました。
このテーマを選んだのは、私自身がこの感情をどのように扱うか悩みがあったからです。
クラスを作るうえで、改めて「嫉妬」とは何かを調べていくと、「良い嫉妬」と「悪い嫉妬」という表現もあり、前向きなエネルギーにも、後ろ向きなエネルギーにもなるという文献もありました。しかし、私自身はこの気持ちが湧くとネガティブになることが多く、嫉妬という感情をどう活用できるかを考えてみたいと思い、このテーマに設定しました。
漢字の成り立ちから考え、新たな疑問も
まずは、参加者ひとりひとりの「嫉妬を感じる」エピソードの共有と、妬みの定義と照らし合わせた上で、書き起こしをしました。
「妬みを『自分よりも上位にあるものに持つ不快な感情』と定義したときに、
「なぜ相手を上位と感じたのか」
「その時に自分自身が持っているもの、例えば持ち味や強み」
について書き起こしました。ワークの中で、参加者からは「そういえば最近嫉妬したことがない」「嫉妬したのは若い頃が多かった」という声が聞かれました。最近でも嫉妬を感じる私としては、皆さんの発言に「羨ましいなぁ」と感じつつ、「歳を重ねたり経験を得ていくことで、自分自身の持ち味を実感したり、相手の手元にあるものを上位だと思いにくくなるのでは?」という気づきなどを、皆でシェアしました。
そして、テーマ本題の「妬み」と「嫉み」へ。
このことについては、2つの感情表現を漢字の成り立ちから考えました。
どちらも女偏で構成されていますが、隣には「石」(妬)と「疾」(嫉)という字が入っており、両方とも凝り固まっている状況や激しい状態を表す表現が含まれている特徴があります。この成り立ちから、「嫉妬」は、初めは単なる「相手のものがいいな」という気持ちでも、それが続いたり不快な気持ちとして凝り固まり、どんどん蓄積した状態であると考察しました。このように「嫉妬」という感情を捉えた時に、凝り固まったり激しい感情になる前にどんなことができるかをテーマに対話をしていきました。この際には、印象に残った発想があります。漢字の「石」を見た参加者から、「若い頃になった尿管結石を思い出した」という声がありました。石が凝り固まって痛くなる状況が、感情を悪い方向に溜め込むことに似ているのではないかという発想です。たしかに、尿管結石は生活習慣の不摂生が溜まって悪くなる。この2つが似ているという感想をもとに、「感情を悪い方向に積み上げないためには、日々の生活習慣を整えるのが大事ではないか」や「不快な気持ちがあることに気づき、自分を許してあげることも大事と気がついた」という言葉が聞かれました。これをキッカケに
「若い頃は生活習慣が乱れたり、気持ちが不安定になったりしがち。その結果、入ってきた不快な感情の処理が難しくなり、嫉妬が負のエネルギーになりやすい傾向になるのかな?」
「そもそも漢字自体も女偏がついているという点で、嫉妬しやすさに男女の違いはあるの? これはホルモンの違いなのか。」
といった新たな疑問も生まれました。自分の感情を有効に活用する上でも、日々の生活や心の機微を丁寧に整えていくことが必要なのだと感じました。
”嫉妬”という感情と向き合う
今回のセルフサイエンスクラスでは、普段の生活の中では我慢したり、見ないふりをして取り上げない感情にフォーカスしてみました。参加者と共に考えや感じたことを共有することで、私自身は「嫉妬という気持ちは、相手への羨ましいという気持ちが増え、自分自身の持ち味や強みが見えない時に、ネガティブな気持ちが強くなる」ことに気が付きました。これは、以前Book Clubで取り上げたブッダの教え、「一の矢と二の矢」に似ています。嫉妬を感じた時に、自分自身に「ダメな人間だなー」という二の矢を刺していることで、ネガティブな気持ちになるのだということに気づきました。今後は、もし、自分が嫉妬を感じている時は、自分自身が持っているもの、強みや持ち味を見直したり、凝り固まる前に不快な気持ちに気づいて対応してあげることで、嫉妬という感情との向き合い方が変わる気がしました。こうやって多くの方と話をすることで、新しい視点を得ることができました。これこそ、セルフサイエンス。ファシリテートをした私自身も自己を観察し、自分を知ることのできたクラスでした。クラスの中で生じた新しい問いについても、また探究していきたいと思います。

DAIJOUBUアレンジャーズ (https://daijoubu-eq.org/arrangers) のメンバーが書いた記事です