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セルフサイエンス×特別支援教育=子どもたちのDAIJOUBU感

 セルフサイエンスやEQを学び初めて数年になりますが、同じくらいの時期に教員から放課後等デイサービスの指導員を経験し、直接支援の中で特別支援教育に関する様々なことを学び体感しました。現在では、直接支援の現場からは離れて特別支援教育、インクルーシブ教育という文脈から学校現場で働く先生方のサポートのために、教育委員会の方々や先生方とお話ししたりサポートをさせて頂く機会が増えました。そんな中、セルフサイエンスと特別支援教育には、とても共通する点が多かったり、掛け算になるなと感じることが多々ああります。そして、それは子どもたちや先生方のDAIJOUBU感にも繋がると感じました。今回は、その辺りの所感を綴っていけたらと思います。

セルフサイエンスとは?

 そもそもセルフサイエンスって何なのか。改めて自分の言葉で整理してみようと思います。セルフサイエンスとは、その言葉の通り「自分を科学する」学問です。つまり、自分自身を知るための学問です。例えば、ある事象に対して、自分自身が何を感じ、何を考え、どういった価値観があるからそういった考えや行動に至ったのか。自分はどんなときに、どうすれば調子がいいのか。逆にそうでないときはどんなことを感じ、どんなことを考えている時か等々…自分自身をメタ認知するとも言えるでしょう。

 そして、自分自身を知る学問であるので、もちろんそこには数学のように「答えはAです」という風に予めあるわけではありません。答えは自分自身の中にしかないのでそれを探究していく学問です。

 自分自身と向き合い、自分自身が何を感じ、何を思考し、なぜそのように考え、感じたのか。自分自身が大切にしている価値観がそこにあるのではないか…と向き合うことで培われる力がいわゆる「EQ(感情知能)」です。

 セルフサイエンスを通して、EQが培われることで、自分自身の感情や思考をキャッチ(メタ認知)してそれらを活用すること通して、その時の自分自身にとってベストな選択をすることができたり、自分で自分自身を幸せにすることにも繋がります。

 ただ、このように言葉で書くよりかは体感してもらったほうが分かるかと思いますので、定期的に行っているDAIJOUBUのクラスに是非ともご参加ください。ちゃっかり宣伝(笑)

特別支援教育とは?

次に、特別支援教育ですが、文科省では以下のように定義されています。

特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。

日本の学校には、特別支援学級や通級指導教室、特別支援学校といったものがありますが、障害、特性のある子どもたち、一人一人のニーズに合わせて個別最適な授業を行っています。

 大まかな流れは、まずは実態把握(アセスメント)をします。子どもがどんな部分で困りを感じているか?その要因となるものは何か?どのくらいのスキル感か?といった部分を分析するイメージです。その上で実態に合わせた合理的配慮や年間や学期の目標を親御様や本人と合意形成しながら設定して、教育支援(指導)計画を作成します。そして、その計画にそって指導をしてみての評価をして、必要に応じて計画書に修正を加えてまた実施していきます。

 子どもの一人一人の実態やスキル感に応じた合理的配慮や目標を設定しているので、スモールステップで成功体験を積みながら学習指導を行うことができます。

 また、「自立活動」という科目もあり、それぞれの実態や目標に合わせていわゆる「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」を実施します。自立活動の中には以下の「6区分27項目」に学ぶジャンルが分かれています。

1 健康の保持
(1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
(2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
(4) 障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること。
(5) 健康状態の維持・改善に関すること。
2 心理的な安定
(1) 情緒の安定に関すること。
(2) 状況の理解と変化への対応に関すること。
(3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関する こと。
3 人間関係の形成
(1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
(2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
(3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
(4) 集団への参加の基礎に関すること。

4 環境の把握
(1) 保有する感覚の活用に関すること。
(2) 感覚や認知の特性についての理解と対応に関すること。
(3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
(4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況についての把握と状況に応じた 行動に関すること。
(5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。
5 身体の動き
(1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
(2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
(3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
(4) 身体の移動能力に関すること。
(5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。
6 コミュニケーション
(1) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
(2) 言語の受容と表出に関すること。
(3) 言語の形成と活用に関すること。
(4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
(5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。

セルフサイエンス、特別支援教育の共通点は?

 セルフサイエンスと特別支援教育を比べてみると共通する点、掛け算になる点があると感じました。例えば、合理的配慮を親御さま本人とも合意形成をしながら決めて実施して、評価していくプロセス。これは、自分自身にどんな配慮があれば(自分でどんなことをすれば)パフォーマンスを発揮できるか。大丈夫でいれるかが分かることに繋がります。それと同時にそれはワガママではないんだという安心感にも繋がります。

 また、自立活動の項目で「心理的な安定」「人間関係の形成」の項目に関する活動は自己認知や他者を尊重するといった部分の内容でもあり、まさにセルフサイエンスです。

 実際にイラストなどを活用しながら学校であったことを振り返り、不快な出来事があった際には作戦会議をするといった活動を続けたことで、今までだったら感情が爆発して癇癪おこしたりしていた子が「怒りそうになったけどアニメキャラクター思い浮かべたら大丈夫だった!」とその子なりの方法を実践できたといったお話しを聞いたこともあり、「まさにセルフサイエンスだな」と感じたこともありました。

 「セルフサイエンス」という言葉ではなくとも、実際にはそれを実践してくださってっている先生方が沢山いて、子どもたちが「自分はこれで大丈夫なんだ」と感じてもらえていることを嬉しく思います。

対話によって学級や授業のユニバーサルデザイン、インクルーシブ化を進めることでより広がるDAIJOUBU感

 以前似たようなタイトルで書いたこちらのコラムにも書かせていただいたのですが、対話を通して、学級という集団においての合理的配慮の在り方やルールを合意形成していくことも重要だと思います。そして、そのプロセス自体が自分自身を知ること、他者を知り尊重するといったことにも繋がると思います。

 もちろん、特別支援学級もそうですし、より人数の多い通常学級は特にそうです。文科省からもインクルーシブ教育の実現に向けて「障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように…」とされています。多様な人が同じ集団の中で生活していくという中で、マイノリティの人にとっては何かしらの社会的障壁があることが多いです。学校は基本的にはマジョリティ仕様にできているので、そこには、マイノリティの人にとっての何かしらの社会的障壁があるはずです。合理的配慮はそれを取り除くものです。

 「自分にとっては何が社会的障壁なのか?」「自分にとって得意なこと、苦手なことはなんだろう」「僕はこういった配慮があればOK」「私はこうしてほしい」…「全部は無理だな…どこを落としどころにしようか…」

こういったことを先生や子どもたちも含めてインクルーシブな環境設定のために合意形成していくプロセスには、結果的に特別支援の視点と自分自身を知るといったセルフサイエンス的な視点も入っていて共通点が多いと感じます。

こういったプロセスを経たうえで、例えば、ある子どもが「僕は、フリースクールかな!こっちの方が力を発揮できそう!」とか多様な学びの場を選択できる。そしてそれを尊重することも大切とも感じています。

 そして、それができればより子どもたちがより多くの成功体験を積めたり、「自分はこれで大丈夫なんだ」といった安心感にも繋がるのかなと感じます。

 最後にこういった実践をしてくださっている先生方も沢山いるということや、したくても現在の教育現場の現状(人手不足など)や求められることが多くできないといったもどかしさを感じている先生方も多くいるといったことも感じております。

 全ての現場の先生方に敬意を表するとともに、少しでもそういった先生方を助けられるように私自身にできることを行っていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

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