1. HOME
  2. ブログ
  3. ワークショップ開催を通じて実感したEQ/SELの効果 ~開催報告(後編)~

ワークショップ開催を通じて実感したEQ/SELの効果 ~開催報告(後編)~

DAIJOUBUアレンジャーズの伊藤いつかです。
先週に引き続き、8月に滋賀県守山市で行った「まちのほけんしつのスペシャルワークショップ」の開催報告です。
第1部、DAIJOUBUの菅原裕子さんをゲストにEQ/SEL(きもちのワークショップ)
第2部、総合診療医の伊藤哲郎先生をゲストにドクターズカフェ(お茶しながらドクターとおしゃべり)
を開催したうちの、第2部のドクターズカフェの報告を通じて、EQ/SEL/セルフサイエンスの効能を熱く語ってみたいなと思います(笑)

ドクターズカフェで感じた不思議な一体感

直接自分図鑑に関係はないのですが、第1部の自分図鑑ワークショップを経て、そのまま同じ会場で行った第2部は、それはそれは何とも言い難い珍しい空気というか光景になったのです。
第2部は、総合診療医で家庭医の伊藤哲郎先生に来ていただき、不登校の子どもを育てる保護者や、普段は支援者として子どもや保護者に関わる専門職の方々も交えてお話会をしました。

哲郎先生には不登校やひきこもり、我が子の発達特性で悩む保護者さんからの質問に対して明確に答えていただいたり、時には正解の見えづらい相談に対しては、哲郎先生だけでなく参加されていた助産師さんやソーシャルワーカーさんからも様々な声が生まれ、みんなで一緒に悩みました。
ここで感じたのが、なんとも言えない会場の一体感。
普通、(何が『ふつう』かも分からないのですが)保護者と支援者が複数名入り混じって、しかもそこにはお医者さんが居て、全員で一緒に悩むという光景が成り立つことってあまりないと思うのです。世間一般のほとんどの現場では、専門家から悩める保護者にアドバイスをしがちで、そこにはいわゆる権威性や上下関係のようなものが自然と出てくると思うのです。診療の現場だとなおさらで、患者がお医者さんから指導をもらうような、そんなやりとりがあるのが「ふつう」なはずなのに…なんだか不思議でした。

EQ/SEL/セルフサイエンスが対話の場に与える効果

今回のドクターズカフェのアンケートから、こんな意見をいただきました。

「今日のドクターズカフェでは、多様な事例に対して医師の見解を聞けることは普段中々ないので、とても貴重な経験になりました。また、伊藤医師が全て答えるのでなく、保護者さん同士での話し合いの中で生まれた疑問や、意見に対して参加者皆で見解を加える様な形式がとても良いと感じました。」

この感想を読んだ時に、私だけでなく参加者さんも同じことを感じてくれていた、しかも私は「不思議」と思っていたのだけど、この参加者さんは「とても良かった」と言ってくれている。この感想を読み、改めて『場づくり』の大切さを考えたくなりました。
そして、自分の中でセルフサイエンス、振り返ってみたのですが…ハッとしました。
前半、第1部でEQ/SELワークをして、参加者の心をほぐしていたのも大きかったかもしれないなと気づいたのです。そして、第1部の時に皆で共有していたグランドルールが、もしかしたら第2部に波及効果を与えていたのかも…と。
第1部で共有していたグランドルールは、

◯参加する。
◯思ったことを率直に話す。(話さなくてもいい)、そして聴き合う。
◯自分の中に答えを見つける。

DAIJOUBUが打ち出す、EQ/SEL/セルフサイエンスのこうしたグランドルールが、こうして他の場でも効果を発揮することがあるなんて…当たり前のようなのですが、新たな気づきでした。対話を通して、保護者さんと支援者がこんなにも心が繋がれるんだなと、後になってから感動の念が込み上げ、EQ/SEL/セルフサイエンスの効果をまたまた実感してしまいました。

「だいじょうぶ」感をシェアすること、感情を共有することの意味

さて、場づくりの話になってしまいましたが、今回、ドクターズカフェで出てきた話の内容は、現実的にはとても悩める内容でした。発達特性に関する話題、ゲームや夜の外出(門限)をどこに設定するか、ひきこもって家に居続けるけれど本当にだいじょうぶなのかetc…たくさんのお話しました。
終わってからも、哲郎先生のもとに寄って話し込まれる参加者さんがいたり、知り合った方々で話し込まれる方もおられたりで、まだまだ時間が足りないくらい。それでも終始温かい場で開催できたことは、何より私にとっても自信に繋がり、価値ある時間だと思いました。
そういえば、イベントが終わってから、哲郎先生がつぶやいておられたのですが、
「こうして、このような場に来るということは、もうそれだけで十分すてきな親御さんだよね。それぞれ困りに対する関わりのコツは必要だけど、なんか皆で一緒に考えたら『だいじょうぶ』な気がするよね。」と。
わたしもそう思いました。
話し合った内容もとても価値のあることなのですが、こうしてみんなで『だいじょうぶ』感をシェアするということが何より大切なのだと思いました。そして、こうした安心安全な空間を作るために、参加者全員で一緒に場を創っていこうとするマインドというかグランドルールというか、そうしたものを共有することも大事。このグランドルールが、学校中、日本中、世界中に広がれば、もっと子ども達も大人達もみんなが安心して自分自身の力を目いっぱい発揮して、幸せな人生を切り拓いていけるのではないかなと本当に思います。

今、苦しみの中にある方と一緒に考えられるように、それぞれの「だいじょうぶ」感を大切に、これからもこうした場を細く長く開けられたらいいなと思います。
次回の、もりやまほけんしつ「そら」@滋賀は10月21日(火)です。
また、11月15日(土)は滋賀県守山市の市民活動のフェスタにてきもちのワークショップ(自分図鑑)をたっぷり体験できる出店をDAIJOUBUの裕子さんとたくさんの仲間たちとしたいと考えています!お近くの方はぜひお越しください♪



今回コラムを書いていただいた、伊藤いつかさん(社会福祉士・スクールソーシャルワーカー)は、滋賀県内で子どもや教育に関する様々な活動をされています。いつかさんが関わっておられる主な活動を2つご紹介します!

💛ネットラジオ「学校行かないカモラジオ」

インタビューアーが滋賀県内にある子どもの育ちと学びを育む様々な場所や人を訪ねて、滋賀県内の不登校に関する話題をざっくばらんに話すネットラジオで、毎週月曜に配信されています。
YouTubeSpotifyポッドキャスト で聴くことができます。

💛まちのほけんしつ「そら」
「すべての子ども・若者が尊重され、健やかに学び育っていける地域社会の実現」をミッションに、不登校やメンタルヘルス等様々な生きづらさをもつ子ども達、若者達が少しでも元気になれるようにと、滋賀県守山市で2か月に1回のペースで、子ども、親、教育関係者、専門職等、誰でもウエルカムの”保健室”をオープンしています。(今回のコラムの自分図鑑もこのまちのほけんしつのイベントでした)今年度はすでに2回開催されていて、とてもやわらかくてあたたかい雰囲気の中で、親・教育関係者などの大人も、遊びに来てくれた子どもも、皆で一緒にホッコリとしたひとときを過ごしています。
  ▶2025年の次回の開催は、10月21日(火)、11月15日(土)の予定です。

関連記事

NEW articles

最新情報はこちらから