「ユーモア」の力

DAIJOUBUの活動がスタートして、まもなく、丸6年が過ぎようとしています。
発足当時は、コロナ禍緊急事態宣言のさなか、子ども達が少しでも大丈夫になるようにと仲間が集まり、日本の子ども達のためにと様々な活動をしてきました。6年という時間の中で、DAIJOUBUの仲間達もそれぞれのライフイベントや節目があり、発足当時、次男の子育てに注力していた私自身も途中から、子育てだけでなく、親の「支援・介護・見送り」という現実に直面することになりました。子育てとは違った難しさ、しんどさがあり、子育てと介護と仕事の両立に限界を感じて、仕事を手放した程でした。
渦中で心が削られ余裕がなくなっていく・・
親を大切に思う気持ちはあっても、親をサポートしはじめて3年が経過し、この先も終わりが見えない日常の中で心身が少しずつ削られていく感覚になっています。
特に、こちらの都合に関係なく何度もくる呼び出し電話やLINEが続いた時は、自分の仕事や生活のペースが大きく乱され、スマホが鳴り、画面に親の名前が表示されるたび、ため息と一緒にイライラの感情が湧き上がってくる。
親も不安な中で一生懸命自分でなんとかしようと頑張ってるのはわかる。自分を頼ってくれているということもよくわかってる。なのに、それに対して優しくなれない。「嫌だ」という感情が湧き上がってきて抑えられない。つい強い口調で接してしまう。
EQ、セルフサイエンスを学んでいるのに、不快な感情に飲み込まれてしまっている状態が続き、うまくできない自分はだめだと嫌気がさしたり、優しく対応できない自分にイライラしたり、日常のサポートをプロに頼むことや、プロに頼んで自分の生活をまわしていることに罪悪感を感じたり、私は親不孝者なのだと落ち込んだりもしました。
2つのユーモア
そんな悪循環の中に長くいて、なかなか抜け出せないでいる私の心を、身近な人たちの小さくてとても温かい「ユーモアの視点」が軽くしてくれる出来事がありました。
一つは、同級生からの話。
同級生の知人が、親からの度重なる連絡に疲れ悩み、ある時、思い立ってスマホの着信名の親の名前を、あえて「動物の名前」に変えてみたら、フフッと笑えてイライラが少なくなったらしいという話を聞かせてくれました。
半信半疑ながら、同じ状況の人がいるのだから私もやってみようかな・・・と、たまたま家族で楽しんでいたゲームのポケモンの名前にスマホ画面を変更してみました。(当初、好きなキャラクターやアーティストにしようとしましたが、嫌いになってしまったら困るので、特に何の感情もわかないけど、外見はかわいいポケモンにしました(笑))
すると、親からの着信がきて、画面に出るそのポケモンの名前を見た瞬間、いつも起こっていた拒否反応がなく、ふわっと受け止められたのです。
現実をほんの一瞬だけフィクション、ファンタジーに変換。それだけで比較的冷静に、いつもより優しく応対ができたのです。一日に何十回とかかってきても、今までは「もういい加減にして!」とスマホを投げそうになっていたものが、着信歴の欄にポケモンの名前が延々と並ぶ画面をみてフフッと笑えてきて、少しだけ心にゆとりがうまれ、どうにかうまく受け流せるようになりました。
もう一つ、感心したこと。
長男のお嫁さん、義理の娘のことです。たまたま、お互いの愚痴を言い合っていた時、彼女は、日々の生活で行き詰まったり、しんどいなと感じたとき、自分を含めた周りの人を似ているアニメのキャラクターに見立てて、その状況をアニメのストーリーと同様にキャラクターになりきって楽しんでいて、そうしているうちに、面白くなってきたりすると。何事も真っ向から受け止めて自分でしんどくしてしまいがちな私は、目からウロコが落ちた気分になり、彼女のその柔軟な感性やたくましさ、明るさにただただ尊敬し救われる思いでした。その話を聞いてから、「散らかした親をうらんでやるっ!」とイライラしながらやっていた実家の片づけも、一部をゲームに見立てて「お宝発見!」などと思いながらすすめてみたりして、少しだけ楽しくなって先に進めることができました。
自分と大切な人を守るためのアイテム
もしかしたら、親の名前をポケモン呼ばわりするなんて!とか、親がみたら傷つくかも、ふざけてる!という意見が出たり、それは根本の解決ではない・・のかもしれませんが、彼女たちが実践していたのは、しんどい現実から自分の心を守るためのちょっとしたアイデア。それにより少しのゆとりや余白ができることで、結果的に自分も相手も心地よく過ごすことができる。現実をユーモアというフィルターを通すことで、少し引いた目線で自分や状況を見つめ直すことができる。まさにEQの発揮だなと思いました。
ユーモアにはいろんな種類があり、中には、人を傷つけたり見下げるような攻撃的な皮肉や卑下もあったり、場にふさわしくないふざけなどもありますが、自分を守り、ひいては、親や大切な相手を守るためのユーモアは大切で、そんな視点をもっておくこと、介護に限らず育児の場面でもとても大切なことだなとあらためて気づきました。過去からの経験で頭では必要性はわかっていても、渦中にいたり、心が削られていくとそういう視点をも見失ってしまう。今回2人から聞いたアイデアで、はっと目の前が開け、新しい「ユーモア」というアイテムをゲットした気分です。
介護や親との関係などの現実を劇的に変えることは残念ながら難しくう、今この瞬間も重たいものを背負いながらの日々が続いています。不器用なのでこれからも迷いながら悩みながらにはなるとは思いますが、手に入れたアイテムをうまく使いながら、親との毎日を心地よく過ごしていきたいなと思います。
自分ではどうしようもない時、自分の中に持っているものだけでは対応しきれない時、経験者をはじめとした周りの力を借りると思いがけない視点や発想に出会うことができます。今回私は身近な同級生や子ども達に助けてもらいましたが、DAIJOUBUが毎月開催している定期クラスの中で、対話やワークを通して自分を発見(再発見も)していくことができます。対話や参加者の皆さんからのふっとした一言に救われたことが何度もあります。最近しんどいなあ、モヤモヤしてるなあ、話したいなあという方、育児や介護でお疲れの方も、(もちろんどなたでも!)ぜひ、お気軽に参加されてみてください。
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長年、企業人事や就活支援に従事。
社会人と小学生14歳差兄弟の母。
すべての若い人達や子ども達が生きやすい社会になるように
EQを中心にこれまでの知識経験を活かし活動中。