心にのこる言葉を紡ぐ
セルフサイエンスの学びに出会い、言葉の選び取りの大切さをひしひしと感じています。
6月10日の大人向けセルフサイエンス・クラスでは『言葉』をテーマとし、開催しました。
私たちが、日々のコミュニケーションの手段として使うものですが、
目に見えない言葉によって、人に与える影響は様々です。
どのような言葉の選び取りをしたら、自分も相手もより心地良くなれるのか、
皆さんと探求してみました。
言葉による人格のモードチェンジはあるのか
英語での一人称は、『I』のみですが、日本語の一人称を表す名称 は、70種類もあるそうです。
様々な場面で使い分けをしていますが、クラスの中で、下記の問いから、皆さんと考えてみました。
★普段、自分が使っている一人称は何か?
★普段、自分が呼ばれている一人称は何か?
上記の内容から更に、
★ 一人称が変わる時に、変化があるか?
★どういう時に使い分けをしているのか?
《皆さんの感想から》
・気を許せる場と,気を張らせる場によって一人称の使い方が異なり、精神的に苦痛を感じる時もある
・相手や周囲との関係性、場の状況といった諸条件に左右される
・無意識に使っていた(男子、女子など)
・日頃から、敢えて役職名で呼ばずにいることで、フラットな関係を築きたいと考えていたが、
使い方次第では、パワーバランスにも影響が出てくる
・子どもが生まれてから、○○のママになり、家庭内でもママと呼ばれることで、
名前で呼んで欲しい思いが募った
こうして改めて考えてみると、一人称の言葉選びについて、あまりにも日常的なことの為、
無意識に呼称している場面がある一方で、自分と他者との関係性において、相手に対し、
どのような位置付けをするのか、ひいては相手の周囲にいる人たちとの関係性からも、
呼称の選び取りをしていることに気付かされました。
そして、どこかで「私は誰にとって何者である/あるべき/ありたいのか」という問いに晒(さら)されながら、
その中で揺らぎ続けているのかもしれません。
ですから、自分が何に心地よさを感じるのか、自分の軸を確立しておくことの大切さを改めて感じました。
言葉の背景に隠されているもの
言葉は、目に見えないものですが、言葉から受ける印象や、伝わり方も様々です。
《自分が人から受けた言葉》と《自分から発信する言葉》について、
言葉そのものが、自分にとってどのような存在になるのかについて、書き出すワークをおこないました。
まず、人から励まされた言葉を思い返し、下記の内容を考える時をもちました。
★この言葉により、どのような感情が沸き起こったのか?
★その人の言葉からキャッチしたものは何だったのか?
★その人の言葉は、何によってできているのか?
つぎに、元ウルグアイの大統領であったホセ・ムヒカ氏のスピーチから、
ムヒカ氏から発言される言葉から、どのようなものが感じ取れるかに焦点を置き、動画視聴をしました。
ムヒカ氏は、言葉と言葉の間の取り方がとても印象的です。
この《間》とは、大きく分けると3種類あり、利き手が理解する為の間、
注意や感心を引き付ける期待の間、話を印象付ける間があります。
間は、非言語ですが、この一呼吸があることにより、言葉に奥行きと重みが加えられることを
感じました。
最後に、言葉を自分から発信する側として考えてみました。
言葉を用いる時・・・
★自分は、どのような雰囲気で、どのよう言葉を醸し出していくのか?
★このような自分になる為に、明日から何をしていくのか?
《言葉の背景に隠されているもの全体に対する・皆さんの感想》
【励まされた言葉】➡大丈夫
この言葉をかけられる時はたいがい大丈夫じゃない時が多い。
【その時の自分はどんな感情】
力不足、悔しさ、屈辱のような感情
【言葉からキャッチしたもの】
向上心や自分はまだいけると思っている(こんなものではないと思っている感覚)
一方で、自分が感じた感情から言葉をかけてくれた人への見下しの気持ちや
優劣をつけているかもしれないということにも気づいた
・『自分が人から受けたことば』と『自分が発信したことば』のワークから、
受け止めた『ことば』で感情が揺れ動くことを実感した。
これにより、自分がどんなことばかけをしていきたいかについて、明確になった
・人から受けた言葉を通して、よくよく思い返してみると、感情が沸き起こっていたことに
気付かされた。
・自分が発言する際に、自分が思った以上感情が言葉に加わることを意識した。
・間の取り方の大切さを改めて感じた。しかし、自分にゆとりがないと難しい・・・
・言葉には、非言語の領域があることも忘れてはならない。
・『どのような雰囲気で』という内容は、あまり考えたことがなかったが、
言葉を取り扱う背景は、目に見えないため、意識していくことの大切さを感じた
セルフサイエンスは、いつも自分と繋げることが大切になります。
ご参加された方々が、一つひとつのワーク・問いに対して、たとえ馴染みのない感覚であったと
しても、ご自分と繋げることに意識が向けられている姿が、とても印象的でした。
そして、ご自身と繋ぐことで得られた数々の発見は、数珠つなぎとなり、
新たな学びはこれからの実生活で活かされると思いました。
また、言葉は思考の種にもなり、単なるコミュニケーションのツールではないことを改めて
感じました。
自他ともに心地良い言葉を選ぶために活かす3つの力
私たちがすでに持っているすばらしい能力、それは「感情」「思考」「行動」の3つです。
誰でも当たり前のように持っているものですが、多くの人はこれらを十分に使いこなしてはいないと
いわれます。
だからこそ、自分に意識を向けて、この3つを活かしていくことが必要になるのです。
特にすべての感情は、抑えるものではなく、コントロールするものでもなく、活かすものとして、
その場でベストな選択ができるように誘導することができます。
さらに、人生に生きがいをもたらし、「行動」するモチベーションを与えてくれる、
大切な役割を果たしてくれます。
つまりは、「感情」と「思考」をバランスよく使うことが大切だということ。
そして「感情」や「思考」を最終的な「行動」につなげてこそ、
初めて価値が生まれるというわけです。
この行動で、心地よい言葉の選び取りができたら、
価値のある言葉として、人の心に浸透していくのだろうと感じています。
私は、子どもと関わる仕事をしていますが、未来ある子どもたちに、少しでも有益な言葉を
紡げるように、セルフサイエンスの学びを継続していきたいと思います。
児童養護施設の職員を経て、子どもの関わりにEQの領域が必須であることを実感。
現在、学童保育にEQプログラムを導入し、子ども達とワクワク感を体感中です。
すべての人が、 心から【だいじょうぶ】だと思える世界をつくりたいと願い、活動中です。