1. HOME
  2. ブログ
  3. 感情にスポットライトをあててみる

感情にスポットライトをあててみる

私は、初めて出会う子ども達に、いつもこんなことを思っています。
それは、少しでも笑顔が見られたら…という思いです。
この思いのルーツは、児童養護施設で出会った殆どの子どもたちが
無反応で、無表情だったからです。

感情を失くしてしまった子どもたち


児童養護施設は、様々な事情で親元を離れた子どもたちの生活の場ですが、
子どもたちが置かれている環境が変化し、施設に入所する子どもたちの抱えている問題が
複雑化しているのも事実です。 
特に、虐待を理由とした入所の増加は、児童養護施設の役割として、
生活の場にとどまらず、治療的役割も求められています。
虐待は、暴力によるケガや傷だけではなく、
子どもの情緒や行動、性格形成面に深刻なダメージを残してしまいます。
そうした子ども達は、自分を守るために、反応しない選択をしていくのです。

しかし、最初から反応しなかったわけではないのです。
様々な出来事に付随して沸き起こる感情が確かにあったはずなのに、
小さな心の内側にあったであろう、一つひとつの感情に、
大人が気がついてあげることができたならば、どうだったのだろう…。
感情を失くした子どもたちは、大人に対する諦めを抱いていたのでした。

最初の一歩、笑顔になれるまで


虐待期間が長ければ長いほど、大人との信頼関係の構築にもとても時間がかかります。
まずは、子どもが作り笑いでなく、感情に伴う笑顔を取り戻すことができるように、
様々な出来事に対して、《どんなふうに感じる?》という疑問を投げかけてみました。
そのプロセスで、本当は悲しいのに、悲しくないと笑ったり、
本当は怒っているのに、平気なふりをしたりと、
表出する感情と、内面で抱いている感情のアンバランスが浮き彫りになってきました。
虐待によって捻じ曲げられてしまった感情が、
擬似的な感情を生み出してしまっていたのです。

自分の気持ちを正しく受け止めるために、
子どもとの関わりの中で、私が感じた感情を言葉で伝えることを意識しました。
同時に、五感を通して感じたものを言葉で表現することを日常的に行い、
頭を撫でること、ハグをすること、
手の温もり、ハグを通して得られる安心感を体感することにより、
1年以上かけてようやく、心からの可愛い笑顔が見られるようになっていきました。

EQ・セルフサイエンスの学びから気付けたこと


施設職員だった当時は、まだEQという言葉を知りませんでしたが、
子ども達との関わりを通して、心の内側を体感として学びたいと思い続けていました。
そして、随分遠回りをしながらようやく辿り着いたEQとの出会いの中で、
感情にフォーカスすることで開かれる世界を知ることができました。
それまで、感情に対して抱いてきた内容が、根底から覆された感覚があり、
新しい発見の連続でした。
自分の苦手な領域に、気負うことなく、
心の内側にスーッと入ってくる言葉の選び取りが、
私の内側に矢印を向けてくれる感覚を体感しました。


感情は、自分への大切なメッセージである
感情は、行動を起こすエネルギーに変えられるもの
感情は、人を動かすパワフルなもの

この領域を、どれだけ意識するかにより、
その先の結果に、大きな意味をもたらすことを知りました。

さらに、この学びから、これまでスルーしてしまっていた事柄に対し、
気付きの感度が高められていることが実感として得られています。
ですから、自身の生活の中で活かすためにも、
継続してEQ・セルフサイエンスに触れ続けることが大切だと感じています。

スペシャルニーズの子どもに対する感情の受け止め


我が家には、ダウン症の娘がいます。
語彙力が限られている中、感情表現をどのように行なっていくか、
これが私の中でのチャレンジでもあります。
娘との関わりの中で、私自身が優位になってしまうと、
娘が行動として表すこと(声のボリューム、しなくて良いことをする)に
静止をかけてしまうことがあります。
しかし、娘と同じ土俵に立つと、一つひとつの行動に、娘の感情が表現されていることに
気づかされました。
(言葉を介する感情表現でなくても、言わんとする行動にも表現されている)
できない=無理だと思える領域に、《VEET》は、私の視野を広げてくれます。
※VEETとは、先日ケイコ先生の特別クラスで紹介していた、米シナプススクールでも
実践している内容です

《VEETとは》
  V→Validate emotions  
   感情をそのまま正当化する
E→Examine incident  
事実を確認する
E→Explore options   
その他の選択肢を探る
  T→Transform emotions  
感情を転換する

感情は、人の内側に必ず存在するものです。
それは、ダウン症の娘も同じです。
スペシャルニーズの子どもは、子どもが出すサインに、どれだけ気づいてあげられるか、
代弁してあげられるかも大切になりますが、
周囲の大人が一人ひとりの感情にフォーカスすることで、
必ず次のステップに繋がるヒントが得られることを信じています。

すべての子どもたちが、EQの種を持っています。
この種を養い育てていくことが、大人の役割でもあります。
この種を育てていくために、DAIJOUBUでは学びの継続を行なっています。
皆さまのご参加をお待ちしています♪

関連記事

NEW articles

最新情報はこちらから