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”自分で自分を応援する”ために

子のいる家庭で起こる「お稽古事」をめぐるあれこれ。
最初はやりたいという本人の意思ではじめたものの、時間がたつにつれ
「練習がめんどくさい」「おもしろくない」「勝てない(レギュラーになれない)から嫌だ」「行きたくない」
など、前向きに取り組むことができない時が出てきます。
一方で、親としては、
「頑張って続けてほしい」「途中であきらめたらやめ癖がついてしまう」「なんとかモノにしてほしい」
「(自分ができなかった夢を)子に託したい!」「他の子は頑張ってるのに・・」
と、いろんな想いから、つい、がんばれがんばれとなんとか行かそうと、頑張らそうとする。
お稽古ごとをめぐり「親の気持ち」「子の気持ち」がぶつかることがあるご家庭は少なくないのではないでしょうか。私自身、今はもう成人した上の息子の時(14年前)は、もちろんEQのことも知らず、自分にも全く余裕がなく、いつもキリキリ緊張して、ちゃんと育てなきゃ!という一心で、息子の気持ちを全く無視して、お稽古事も嫌がってもとにかく頑張れ!辞めるな!逃げるな!を押し付けていたような気がします。

そして、また今、渦中にいます。年の離れた小学生の下の息子が、現在、競技かるた(百人一首の競技。滋賀県大津市は、アニメ「ちはやふる」の舞台になった近江神宮があり「かるたの聖地」とも言われています。)を習っているのですが、2人目だからとか、EQを学んでいるからといって、毎回穏やかに上手に対応できるわけではありません。その日のコンディションであったり、想いが強くなり、ポロっと出てしまった言葉で傷つけたり傷ついたりはやっぱりあります…….

「気持ち」は毎日変化する

先日、その競技かるたの公式試合がありました。
コロナで延期が続いたこと、これまで公式戦で一度も勝ててないこともあり、試合前のある日「出るのやめる」と泣き出しました。その後、出る出ないで気持ちが定まらない状況が続き、たまたま私がとても疲れている時にその話になり、受け止めきれず、「どっちやねん!」とイライラして、言い合いに発展してしまいました。
そして、「もう!”ママが怒るから”試合でるわ!」と言われ、ハッと我に返りました。
よかれと思って伝えた言葉が子どもを追い詰めてしまっていたのです。

思い起こせば、自分の幼少の頃も(今でも)、前向きになれない時や頑張れない時はやっぱりありました。
「嫌だ」という気持ちが勝ってやめてしまい、今になって続けておけばよかったと後悔することもあります。
子どもには後悔をしてほしくなくて、ついがんばれと言ってしまいます。でも、それはあくまで「私(親側)の気持ち」であり、お稽古事をする「(本人)子の気持ち」ではない。わかってるつもりでも、渦中にいるとなかなか見えなくなって、きっと私に揺れる気持ちを受容してほしかっただろう息子の気持ちに気づけず、自分の感情をうまくつかえてなかったことを、息子の言葉でハッと気づかされました。

子育てをしていると、お稽古事に限らず、こういう場面は多々あって、そのたび、なぜうまくできないんだろう、この年にもなって私はダメな母だなあ・・とつい悩んでしまいます。
でも、毎日、大人も子どもも一生懸命生きていて、そんな中で状況もコンディションも日々変わるのだから、気持ちだってコロコロと変わって当然。ずっといいモチベーションをキープできるわけではなく、うまくいかない、うまく気持ちが向いていかない時だってありますよね。

自分で自分を応援する

競技かるたの試合は、1対1で戦いますが、読手(和歌をよむ人)の声に耳をすませ、いかにその音を早くキャッチして取るかという秒を争う世界。観客は物音を立ててはならず、野球やサッカーなどの試合のように「がんばれー!」「いいぞー!」など声援を送ることができません。指導者等からアドバイスを送ることもできず、1人で相手と、試合と、そして自分と向き合っていかなければなりません。それは選手が大人でも小さな子どもでも同じです。

以前、試合に負けて泣きじゃくってる子どもさんに指導者の方が、
「かるたは試合中誰もがんばれと応援してくれない(できない)んだよ。”自分で自分にがんばれって応援”できないと勝てないんだよ。泣いてて自分を応援できる?」と話されているのが聞こえました。
まだ感情をうまく扱えない子どもに向かって「泣いてはだめ」とは厳しいなあと一瞬は思いました。
が、それは、ただ単に泣くな!我慢しろ!ということではなく、感情に支配されず、「自分で自分を応援する」ために、自ら、悔しい・悲しいなどの気持ちをエンジンにしてホントは勝ちたいという「その気持ちを作っていく」ことが大切なんだということを伝えようとされていたのかなと思います。
これは、シックスセカンズのEQモデルでいうところの「感情のナビゲート」というコンピテンシーの活用にあたるのですが、やっぱりかるたにもEQって大切・・と実感した瞬間でもありました。

結局、我が家もこのEQを活用し、まずはお互いの気持ちを伝え、それはなぜか、そして、「ホントはどうしたいのか」を話し合い、「ホントはかるたも好きだし試合も出たい」「でも負けるのが嫌だから出たくないと思った」ということがわかり、当日までそのためにできることをやって、試合に出場しました。本人に聞くと、試合中、リードされた時、気合の入る好きな歌を心で歌ってみたら踏ん張れて逆転して、その試合は初めて勝つことができました。
自分であきらめないという気持ちを作り、うまく結果に繋がった瞬間でした。

お稽古事や学習など成長していく過程で、この「自分で自分を応援できる」ことは、技術面・学習面・スキル等を磨くことと同じくらい(時としてそれ以上に?)重要ではないかと思います。
子ども達が「自分で自分を応援できる」「その気持ちをつくっていける」ようになるために、
大人達は何ができるか。
それぞれの子どもに個性があるように、その方法に正解不正解が明確にあるわけでなく、子どもの数だけ様々なことができるとは思います。
私自身は、今回の出来事を通じて、あらためて、親子とも両方がそれぞれのEQ活用が大切なことを再認識し、
「親も子も自分の”その時の気持ち”や”状態”をよく観察する。そしてそれを否定せず大切にする。」
その上で、
「続けるにしてもやめるにしても”ホントはどうしたい?””そのためにできることは?”を一緒に考えていく。」
を、一緒に揺れながら、ぶつかりながら、失敗しながら、悩みながら、コツコツと、ボチボチと小さく積み重ねていきながらやっていこうと思いました。目の前の子どもをしっかりみて、子ども自身やその想いを尊重し、信じて。

親も子も、焦らずに、失敗してもやり直せばだいじょうぶ。ゆっくりゆっくりでだいじょうぶ。

そう思って肩の力抜きながら、子どもとの毎日を過ごしていきたいです。

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