「答えは自分の中にある」とは…
「答えは自分の中にある。」セルフサイエンスを追究していく上で大前提のことであり、DAIJOUBUのセルフサイエンスクラスのグランドルールの1つにも「自分の中から見つける」というものがあります。
ただ、この「答えは自分の中にある」というのが、「しっくりこない」「そんな事より答えを教えてくれ」「それよく言うけど意味分からない」というのが世間でも多いのかなと感じています。
私自身も何気ない会話の中で「答えは自分の中にある」という事を発信した際に「出た!それ」と言われたこともあります。「意味がわからない」「答え教えてくれないなんてそれって無責任じゃない?」といったニュアンスもあ感じました。
なので、改めて今回はこの「答えは自分の中にある」というものを自分なりき噛み砕いていきたいと思います。
答えやHOW toで溢れる世の中
そもそもなぜ「答えは自分の中にある」という事に対してしっくりこないと感じるのか。その一つの要因には、とにかく答えや結論を早急に求める風潮があると感じています。
もちろん、それ自体が全て悪いというわけではありません。早急に答えを出さなければ、大変な事になるといった状況も沢山あります。
その反面、絶対的な答えがないものやどの選択肢も正解になり得るもの…まさに正解がないものや事も世の中は溢れています。そして、その正解が分からない状態、迷っている状態は不安や恐怖など不快な感情が湧いてきます。だからこそ、早く答えに辿り着きたい、答えを知りたいと思うのは自然であり、それに対応するかのように検索をすれば様々な答えやHow toを見つけることができます。
それがあると、不安等々の感情が紛れて希望に変わったりということもあるので、余計に「答えは自分の中にある…それは何か」を追究するプロセスやその状態に嫌悪感を示すといったことがあると感じます。
迷っている状態は悪いことではない~ネガティブケイパビリティ~
以前、DAIJOUBUの定期クラスの1つである、Book clubでひろこさんが「ネガティブケイパビリティ」というテーマを扱ってくださった回がありました。
ネガティブケイパビリティとは「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」のことです。
その対義語にポジティブケイパビリティというものがありそれは、「できるだけ早く答えを出して、不確かさや不思議さ、懐疑の中から脱出する力」、「問題に対してすぐに答えを出し『わからない』を『わかる』に置き換えていく能力」
とのことでした。世の中で評価をされているのは後者のポジティブケイパビリティの方です。
ですが、前述のとおり世の中には答えがないもの、どんな選択肢も正解になりえるもので溢れています。数学のように「これが正解!」と単純に示せないからこそ、早く答えを出した時にそれが自分たちにとって本当によい選択だったのか、分かったつもりになって深いところまで追究できていなかったということもあります。
だからこそ、答えが出ていない状態やその中で追究するプロセスや時間が大切だと感じます。時間をかけてそのプロセスを経た結論こそがまさに自分の中から見つけた答えであり、価値のあるものではないでしょうか。
迷っている状態は不安といった感情があるかもしれませんが、不安だからこそ、時間をかけて思考して導き出される答えがあるのでその時間や状態は悪いことではない、むしろ良いことだと思います。
「叡智は自らの中にある」言葉にできない直感や違和感を大切にする
答えがないものについて考えている時や、他者に早急に答えを出された時、それについて「なんか言葉にできないけど、違和感がある」や「なんか言葉にできないけど、直感的に~な気がする」という経験はないでしょうか?こういった違和感や直感は理由や根拠を上手く言葉にできないので、話し合いの場なので、それを発信することも少ないと思います。「早く答えをだす」ということが評価される中では、論理的に説明することも求められるので余計そうかもしれません。
ただ、言葉にできない直感や違和感の根拠は自分自身の脳内にあります。直感や違和感はその人が今まで経験ことから蓄積されたエピソード記憶や感情記憶を参照しながら脳が「これは何かおかしいぞ」とサインを送ってくれています。なので、言葉にできないから根拠がないわけではありません。
違和感や直感に対して時間をかけてその根拠を明らかにすることはクリエイティブな発想にも繋がると思います。だれもが言葉にできることは、誰もが発想できることでもあります。簡単に言葉にできないことだからこそ、そこにはすごい叡智が隠れているかもしれません。そして、その叡智は自分自身の脳内からきています。
人はそれぞれ経験してきた事柄も培ってきた価値観も思考も感じてきた感情も違います。それによって作り出された自分自身の脳内から出されるサインを大切にしながら時間をかけて導き出される答えこそ、本当に自分自身が納得できる答えなのではないでしょうか。
そして、違和感や直感を感じる精度を高めるためには、日々自分自身がどう感じたか、何を思考したのかをメタ認知していくことであると思います。
「叡智は自らの中にある」その叡智を活用できるのは自分自身だけです。これこそが「答えは自分の中にある」ということの本質だと感じています。
金融機関での勤務や9年間の公立中学校教師生活を経て
現在は放課後等デイサービスで学習指導やSSTを行う
自分自身も、子どもたちも「自分らしく生きて幸せに」というモットーのもと
教育に携わっています