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生きる力・非認知能力は、なぜ必要か

12月5日(土)21時~オンラインで、SEL教育実践校の世界最先端と言える米国シナプススクールよりKeiko Sato-Perry氏をお迎えし、『生きる力・非認知能力を育む教育とは?』というテーマで特別クラスを開催します。

本日は特別クラスの前に、今教育界でそこかしこで疑う余地なく「大切!」と謳われているこの能力について、少し探索してみたいと思います。

SELとは・非認知能力とは

SELとは、Social Emotional Learning; 社会性と感情の学習のこと。
非認知能力*とは、テストでは測定できない個人の特性による能力。

*但し、米国で特にNon-Cognitive Skillというような言葉として広まっている状況はなく、SEL、Emotional Intelligence; 感情知能、Self-Science; セルフサイエンスという言葉が一般的です。

と”定義”されています。

定義、という言葉にクォテーションマークを付けたのには意図はあります。DAIJOUBUは、言葉だけの説明よりも、体感で・お腹の中で・心が納得して「わかる」を大切にしているからです。とはいえ、言葉だけ・説明だけで100%「わかる」ことは難しくても、想像を膨らませたり、ワクワクを想起することはできます。今日は想像を膨らませ、ワクワクを想起できるように、この記事を書いてみたいと思います。

コロナが全世界を物質的・環境的変化で覆い、ほとんどの人が様々な感情を同時に抱えながら生きているこの2020年。コロナが始まる何十年も前から欧米を中心に注目されてきた「社会性と感情の学習」「テストでは測定できない個人の特性による能力」が、なぜ今より一層大切とされているのでしょうか?

非認知能力とEQと、SELとセルフサイエンス

非認知能力をもう少し具体的にすると:意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の能力、のことを言います。しばしば、テストで測定されやすい学力(認知能力)と対照して用いられています。

そして、日本の教育界で「非認知能力」として馴染みの深いこのスキルは、「感情知能EQ」と概ね同じと解釈して良いでしょう。EQは、1行で表すと感情について賢くなること。子どもたちには、自分の脳とハートを大親友にすること、と話しています。感情の持つ力、脳の仕組み、脳と感情の関係と活用の仕方、そういったEQスキル(≒非認知スキル)を、「セルフサイエンス」というクラスで、「SEL」という学習法を通じ、学びます。

学術研究によって、特に6歳までの非認知能力の高さが学歴や雇用、収入に影響することが明らかになっているとして日本では主に幼児教育の分野で注目を集めていますが、グローバルな感情知能EQの文脈では、脳は後天的に変容するもので、筋肉と同様トレーニングをして強化をすることができるため、何歳でも遅いことは決してありません。何歳までにやらないと手遅れ、ということはなく、何歳になっても磨くことができ、また同時に、意識を向けなければ何歳になってもいくらでも未熟でいられてしまう、それが非認知能力でもあります。

非認知能力と、学力・成功との高い相関

非認知能力は学力を11%向上させ*、投資対効果も11倍**と言われています。SELを導入することにより、クラスの雰囲気・姿勢が変わり、一人一人のストレスや鬱の取り扱いが上手になり、自分自身にも、クラスメートにも、学校全体にもより良い対応ができる(選べる)ようになることもわかっています。コロンビア大学による研究では、SELを導入すると、一生涯の収入、心身の健康、犯罪などを鑑みた長期的なリターンが11倍に及ぶ(1ドルの投資で11ドル分のリターンがある)と報告されています。

CASEL infographics

また、SELによって育まれる感情知能EQは測定が可能で、18歳以上75000人のデータによるEQスコアと人生の成功(自己評価による、人生の満足度・納得度)の間には高い相関があり、その相関率は55%以上とも言われています。そしてこれは実に、IQの2倍の成功を予測し、人生を豊かにするのにEQは必要なスキルとも言えます。EQは非認知能力と概ね言い換えられるでしょう。そしてそのEQ、ないし非認知能力を育むアプローチが、SELなのです。

SEI (Six Seconds Emotional Intelligence Test)の分析より

AI(人工知能)にできないこと

2014年英国オックスフォード大学は「今後10~20年の間に米国総雇用者の約半数の仕事がAIにより自動化されるリスクが高い」と発表し話題となりました。それから6年経ち、実際に多くの仕事がAIに代替され始めているのを実感する一方で、思考や感情の高度なリテラシー(読み書き能力)を要し、社会的関係性が重要となる仕事はAIに台頭できないことも明らかとなってきました。多様な背景を持つ人が集まり協働したり、空間のエネルギーや、その人から発せられる言動以外の部分(感情の氷山の水面下、とも表現されます)を含めてのコミュニケーションは、人だからこそできること。

また、コロナ以前から「予測困難な時代」「先行き不透明な時代」ということは文科省においても指摘され、この時代を生きていくのに必要な能力として「自らの生涯を生き抜く力」という言葉が使われていますが、これもまた人だから持ち合わせ、磨くことのできる力。多くのことが再現性を持たない世の中において、この世にただ一つで、一生涯を共に生きる自分自身の心・体・頭、を知り尽くすことが、この力の大部分を占める、とDAIJOUBUは考えています。

米国では学習指導要領にSELが含まれ、公立校でも導入が進んでいる

米国教育庁では既に全米向けの学習指導要領の中で「SEL」について取り扱いがあり、29州では既に州の学習指導要領でもSELを取り扱っています。また、他の州でも具体的に学習指導要領に明記されてはいないものの、ワーキンググループなどによって実際には推進されている場所もあるとのこと。米国在住の知人からのケースを2つだけ紹介します。

ミシガン州のある公立中学校では、コロナが深刻化してから授業はずっとオンライン。子どもたちは家の周りを走ったり庭で遊んで体を動かしつつ、終日家からの学習が半年以上経過しています。公立の学校ですが、もともとSELのクラスはありました。先生たちは全員がSELというものに明るいわけではないですが、このコロナをきっかけに必要性への共感が一気に大きくなり、特にオンライン授業が始まった最初の数週間は、「自粛の間、どんな気持ちで過ごしていた?」や、「こんな気持ちになった時は何をした?次そんな気持ちになったらどうする?」といった投げかけがされました。どの授業でも「子どもたちの感情へのフォーカス」「感情の取り扱い」が意識されるようになっているように感じます。(保護者談)

カリフォルニア州ベイエリアの公立小学校では、オンライン授業が始まる際、「これからこうしてオンラインで授業をすることが増えていくけど、どうしたらこのスタイルの授業を良くしていけると思う?」という問いから始まり、何をしてくれると安心する、何をされると傷つく、だからこうしていこう、というクラスの姿勢の認識を共有するところから始まりました。もともと感情教育、SELが必要だという認識はこのエリアでは一般的だったが、このコロナをきっかけにより一層その重要性の認識は高まっているように感じます。(保護者談)

たくさんの感情が次々湧きおこる今、大人にも子どもにも必要な能力

日本でも連日、コロナの第3波という報道がなされています。春の自粛の際は、目に見えない恐怖、どう怖がるのが適切かわからない不安定さ、自粛警察とも呼ばれた正義からくる言動の刃、普段会えていた人へ会えない寂しさ、これまでの当たり前がことごとく手のひらから零れ落ちていく虚無感、限られた生活の中でやっと視界に入った小さな温かさ―――。

常に人々はいくつかの混ざり合った感情を持ちながら生活しています。あなたが脳を持つ限り、感情は常に今ここに、あなたの中にあります。そして誰の中にもあります。

自分を知り尽くすこと、自分自身のプロフェッショナルになること、これをセルフサイエンスと呼んでいますが、私たちは自分の職業や肩書きの前に、果たして世界で1人の自分自身のプロフェッショナルでいられているでしょうか。

EQと出会い、これまで感情教育やSELを伝える多くの世界中のプロフェッショナルたちと仕事をしてきましたが、今私はこんな風に考えています。

本質的なSELの姿勢とは
teach(教育)でなくlearn together(共育)であり
直すのでなく既に子どもたちの中にある光を
後ろから支える、後押しする

そして
共に、自分自身のプロフェッショナルになっていく
セルフサイエンス=自分を科学するプロセスそのものが
SELである

先行き不透明な、混とんとした時代だからこそ
子どもにも大人にも
今SELが必要なのではないでしょうか


12月5日(土)21時~開催『生きる力・非認知能力を育む教育とは?

ケイコ先生はこの最先端の学校、シナプススクールで、まさにSELを教科(セルフサイエンス)として教えていらっしゃいます。(お人柄はといえば、柔らかい笑顔と温かみのあふれる方です。)

イベントでは、シナプススクールの取り組み等をご紹介するのと同時に、皆さんのために設計されたセルフサイエンスクラスを体験していただける予定です!皆さんご自身が体験したり、考えたりすることで、果たして皆さんの中にどのような気づきが生まれるでしょうか。
そして、明日から学校やご家庭でお子さんとよりよく関わっていくためのヒントやインスピレーションもたくさんちりばめられていると思います。

まだお申込みでない方はこちらのリンクよりぜひお申込みください。たくさんの方のご参加をお待ちしております!

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